第34話(仮最終話)因果ってなによ?

 アリアは寝室の大きなベッドで寝ていた。


 それを優しい気持ちで眺め、起きるのを待つ者がいた。


「うぅぅあー」


「まだ、寝れないのか?」


「え?!誰?」

咄嗟とっさに枕元の銃に手を伸ばした。


「まて、まて、僕だよ、イワンだ」


「イワン?あーイワン。撃ってやる」


「だからまてって!」


「あんな悲しい架空の過去を見せられて冗談じゃないわ。なにがプレゼントよ!」


「君が見たものは悲しい物語ではないよ。選択しだいでは現実になっていたものだよ」


「いや、そんなことはない」


「あるんだな~」


「なぜ、あんなものを見せたのよ」


「僕の口からは言えない。ただ因果とだけはいえる」


「因果?」


「そう。仏教の言葉だよ」


「仏教?」


「君が行った奴国が仏教を信仰している」


「何を言いたいのか全くわからない」


「因果とは前世の悪い行いの報いとして現在の不幸があること」


「それじゃ私が過去に悪いことをしたって言いたいの?だから結婚が上手くいかないってこと?」


「ほぼ正解」


「私は吸収木で世界を救った!それでも因果は終わらないの」


「吸収木の件に君が関わったのは偶然ではないよ」


「え?!必然といいたいの」


「そうだよ。ひとりでやったつもりなの?」


「──────────」


「99.99% 卑弥呼がやったことだよ。君の因果は終わっていない」


「どうすればいいの?」

 アリアの不安は募ってきた。


「それは僕には言えないけど……

  

    

    その時が来たら

    そのお方が

    お姿を表し

    全てを語られる


であろう……」


 アリアの不安は募るばかりであった。

 確かにロナウドには悪いが今の結婚も上手くいっていない。マックス、ルータスともダメだったのかもしれない。しかし、いったい私は過去に何をしたのだろうか……?


「アリア、そろそろ本来の姿に戻ったらどうだ?」


「本来の姿?に戻る?」


「そうだよ」


「何を言ってるの?」


「そうだよな。記憶抹消の処分だったもんな。1400年前だしね!」


「─────────────」


「心配だろうが時が解決してくれる」


「イワン、私が本来の姿に戻ったらあなたより強い」


「1000倍強い」


「そしたらお前をぶっ飛ばす!」


「それそれ、その気性!」


「また、先の見えない人生になっちゃたけど負けないわ」


「僕に言えるのはここまでだ。ちょっと言い過ぎたくらいだ。本来なら感謝してほしいのだけれど……」


「うるさい。変身したら殴りにいく。天使やろうが……」


「元気になって良かった。荷物を纏めておけよ」


「荷物を……?また旅にでるの?」


「本来、一カ所にいるのは好きではないだろ?」


「────────────うん」


 









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