❀紅紫(紅人視点)

私は神楽様の勉学の邪魔になりたくないため距離をとった。私が散歩する場所に選んだのは他でもないあの忌々しい紫雨がいる社の敷地内だ。何時でもあの透明な蝶を神楽様の周りを飛ばして私のような邪な存在である者に触れさせないようにしている。私は神楽様に触れることを望んでいるのに…。それに今日、神楽様の近くに寄ったときに微かに神気を感じた神気なんてそれこそキスや性行為をしなければ分けられないというのにまったく嫌な存在だ。

そのとき何処からともなく鋭い刃が閃いた避けながら柄が紫の雁木巻であるその刀を持っているのは例の紫雨に違いない思ったとおり薄色の髪の男が眼を鋭くさせてこちらを睨みつけそこにいた。

「何故お前みたいな妖が俺の社の敷地内にいる?いますぐにここから出ていけ!出ていかない場合は即刻に斬る」

相変わらずおっかない性格だ、でも大人しくここから去るわけにはいかない。

「お前神楽様に何をした?」

「あぁ…キスをしたなぁ?」

チッ…憎たらしい顔をしやがって!なんでこんな奴が神楽様を守っているんだ、こんなボロ社に住んで遠くから守るこいつとは違って私の方がもっと近くで守るのに。

「お前の造った蝶で神楽様を守っているつもりだろうが私のような強い妖は側に寄ることができるつまり障りを当てることだって出来るんだ私ならお前みたいに遠くから中途半端に守らない、いつでも側にいて妖から守ることができる」

「だから神楽から離れろって?そんなの願い下げだね俺は神楽が小さい頃から好きなんでね」

そんなの関係ない私だって神楽様のことが好きなんだ!なのになんで神楽様は私のことを考えてくれないんだ。悟の力を使って神楽様の考えていることを覗いてみたがこいつのことばかり考えていた私が側にいたのに。

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