❁記憶 壱

4~5歳位の人の子が遊びに来るようになった。

それにしても、俺が視えるなんて憐れな人の子だ。

本来ならば神である俺が人の子に干渉する事は禁じられているのだが余りにもこの子が物悲しそうだったため、つい話しかけてしまった。毎日のように遊んでやっていたらあっという間に懐かれてしまった。何時もの時間になると俺の住む無人の社に走ってこの通り遊びに来る。

「ねぇねぇ!おじちゃんみて!カエルさんだよ!」

おじちゃん……この容姿は人の子から見ておじちゃんに見えるのか…複雑な心境だな。

「おお、雨蛙だな。それとおじちゃんじゃなくて お兄ちゃんと呼びなさい」

「うん!おにぃちゃん」

満面の笑顔で俺の事を呼ぶ愛しい人の子だ。

だが、そろそろ離れるべきだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る