第3話


 私の中で、トップスと言えば百貨店の地下にあるケーキ屋さん。


 でも、母はトップスで食事をしたことがあるようなないような…という記憶の持ち主だ。


 娘時代、それも幼い頃に家族でトップスのレストランに行ったことがあるらしい。


 その日、何故赤坂付近にいたのかは覚えていないそうだが、所謂いわゆる「よそいき」を着ていたらしく、普段お転婆な母も「よそいき」を着て出掛けると気分が華やぎ、ちょっとお行儀よくできていた気がするらしいがどんな服だったかまでは覚えていないようだ。



 自分の服は覚えていないが、祖母の着ていた服は詳しく説明出来る母。


「ツヤツヤとした金色みたいなブラウスに、ツイードのジャケットと膝下くらいのタイトスカートで、黒い革の薄いバッグに金の金具がついたハンドバッグを持っていた。」


 とにかく、家族みんなでちょっとおしゃれをしてお出かけしていた、春か秋の思い出。



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