第22話 ペアチャームってロマンチック
アクセサリー屋さんに着いた二人(侑梨・美唯)は店内を散策していた。
「侑梨ちゃんはアクセサリー類を沢山持っていそうだよね」
「そんなことはありませんよ。ほとんどは衣装の方が用意した物なので、私自身が持っているのは微々たる物ですよ」
「そうなの?!衣装のアクセサリーってそのまま貰えるのだと思っていたよ」
「貰えますよ。お金を払えばですけど」
侑梨は微笑みながら、胸の前でお金のポーズをしていた。
美唯は苦笑しながら口を開いた。
「侑梨ちゃん…それはアイドルだった人がやるポーズではないよ。でもタダでは貰えないんだね」
「そうですよ。世の中そんなに上手くは回っていませんから」
「あはは…そうだね」
美唯は苦笑したあと、「それじゃあ」と言葉を続けた。
「お揃いのアクセサリーを選びますか!」
「そうですね!」
目の前の棚にあるアクセサリー類に視線を向けて選び始めた。
「どれも素敵すぎて悩んじゃうね〜」
「ですね〜 リングも素敵ですし、ネックレスも可愛くて悩みます」
「でも学校には付けていけないのが残念だよね〜」
「それならストラップ系などいかがですか?鞄などに付けれますし、校則も破っていないので」
「 !! いいね。それじゃあ、可愛いストラップに変更だ!」
「はい!」
二人は店内のストラップコーナーに移動をした。
「う〜ん…ストラップも可愛いの多いから悩むね〜 侑梨ちゃんはこの中だとどれがいい?」
「そうですね…」
侑梨は返事をすると、ストラップに視線を向けて一つ一つ見ていく。
そして自分がいいなと思う物を手に取り、美唯に向けて見せた。
「こちらのうさぎさんのストラップが好きですね!」
「可愛い…侑梨ちゃんとの相性も抜群すぎてやばいね」
「だから、そんな恥ずかしいことを言わないでくださいよ!!美唯さんだって、このうさぎさん似合いますよ」
「ありがとうね!なら、私もこれにする!お揃いにすると言ったからね!」
美唯はそう言って、掛けてあるうさぎのストラップも一つ手に取った。
「あの…私が好きな物を選んでしまったのですが、美唯さんの意見はよかったのですか?」
「………っん?あー、大丈夫だよ。私は侑梨ちゃんが選んだ物とお揃いにしたかったから」
「それならいいのですが…」
「そんなことよりレジに行こ!」
美唯は微笑しながら言い、レジへと向かった。
侑梨も彼女の後を追い掛けようとした時、ふと視線に入ったPOPが気になり足を止めた。
POPには、『"大切な人"や"友情の証"などにペアチャームはいかが?』と書いてあった。
「ペアチャーム…」
それは2つ重ね合わせるとハートの形になるお守りチャームだった。
「2つのチャームが重なると1つのハートになるなんてロマンチックですわね。直矢くんとのお揃いアクセサリーとして買いましょう!」
侑梨はペアチャームも手に取り、改めてレジへと向かった。
XXX
買い物を終えた二人はお昼を食べるためにレストラン街へと来ていた。時刻は午後2時過ぎ。お昼の時間を外したため、店前に人混みがあまり目立っていなかった。
「お昼どうする?」
「私は特に嫌いな物はないので何でも大丈夫なんですが、美唯さんは好き嫌いはありますか?」
「私?私も嫌いな物はないよ」
それを聞いた侑梨はニコリと微笑み、一件のお店を指差した。
「あのスパゲティ屋さんはいかがですか?」
「うん、いいよ!」
「それでは行きましょうか」
スパゲティ屋さんの店内へと入っていった。
侑梨たちは店員に席へと案内され、それぞれメニューを手に取った。
「どれも美味しそうだけど、私はミートスパゲッティに決めたよ」
「早いですね!———私はカルボナーラにします」
侑梨は数秒メニューと睨めっこをしたあとすぐに選んだ。そして美唯がベルを鳴らし、店員さんに注文をした。
注文を終え、飲み物が届いた二人はゆっくりと話をしていた。
「ねぇねぇ。侑梨ちゃんさ、私がレジで買い物している時、何か追加で選んでいたでしょ?」
「 !? ど…どうしてそれを?!」
「偶々、後ろを振り向いたら選んでいる侑梨ちゃんが見えたんだよね〜」
美唯はニヤニヤしながら、追加で選んでいたアクセサリーを見せるように言ってきた。
侑梨は恥ずかしかったが、美唯の押しに負けて渋々袋から取り出した。
「ほぉ…ペアチャームですか。これはまた愛が籠ったプレゼントですね」
「美唯さんとのお揃いのストラップも嬉しいです。ですが、直矢くんとのお揃いもほしくてつい…」
「いいんだよ。私は侑梨ちゃんが直矢くんとラブラブなのを見たいから気にしないで」
「ありがとう…ございます」
美唯の言葉に侑梨は微笑した。
「お待たせしました。ミートスパゲッティとカルボナーラになります」
ちょうど注文していた料理が届き、机の上に並べられた。そして店員が元の位置に戻ったのを確認すると、二人は顔を見合わせて挨拶をした。
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