誰か―――

 なんだろう。

 体がふわふわしてる。

 まるで、体が浮き上がっているみたい。



 空を飛ぶって、こんな気分なのかな…?



 体の先から頭の中まで感覚がなくなって、ぼーっとした気持ちになる。



 その中でただ、胸だけがとても熱かった。

 胸の熱さは時々、頭の中を真っ白にする。



 熱くてたまらない。

 なのに、この熱さからは逃げられない。



 ずっと、ずっと昔から。



 嫌だ……熱い、熱いよ。



 熱くて苦しい。

 でも、体が全然動かない。



 苦しいよ……痛いよ……



 泣きたかった。

 それくらい苦しかった。



 誰か……誰か助けて。

 痛い……痛い……



 もうこんなのは嫌だ。

 こんな苦しくて痛い思いなんてしたくない。





 誰か……誰か―――




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る