第52話 強い恐怖心を感じてしまう
「いや、流石にそれは良心の呵責を感じてしまうのだが?」
「あら、流石ペット思いのご主人様ね。 ではやればできるペットの私は明日までにご主人様の手料理で食べたい料理ベスト百を考えて来てあげるわね」
「いや、流石にそこまでしてもらわなくてもだな……」
そして俺たちはそんなたわいもない会話をしつつ、ときにはお弁当を食べさせ合いながら昼休みを終えるのであった。
◆
祐也から告白されてから、私はもう一度祐也から告白をされるのを待っていた。
理由は簡単で祐也の気持ちが本物かどうかを確かめる為である。
祐也は、本人に言うとそんな事はないと信じてもらえないのだが意外と女性人気が高く隠れて狙っている女子は意外と多い。
それに本人は私の事を幼馴染だからと普段から揶揄ってくる事が多かったので今回の告白も揶揄ってきた可能性があると思ったのである。
だから私は彼氏がいるという嘘をついて一度祐也からの告白をお断りしたのだ。
もし祐也の気持ちが本当であれば例え私にフラれようとも、さらに彼氏がいようとも私と付き合うことができるまで告白しにきてくれる筈である。
そう思ってフった次の日は、祐也は私に振られたショックからか落ち込んでいるのが直ぐに分かって、私は心の底から嬉しいと思ってしまう。
私に振られて落ち込むと言うのは、それ程私の事が好きだという事でもあるので嬉しいと思う反面、好きな人が傷ついている姿はあまり見たくないという相反する感情が私の中でドロドロと溶け合って言葉にできない感情で満たされる。
しかしながら流石にこれ以上は可哀想だと良心の呵責を感じてしまい次は祐也からの告白をオーケーして本当は全て祐也を試すための嘘で、彼氏もできた事ないし、昔から私は祐也のことが好きだったというのを伝えよう。
そう思っていたのだが、あの告白から待てど暮らせど祐也から告白をされる事はなかった。
むしろ日に日に祐也は私にフラれたことに慣れて来たのか落ち込むような表情もすることは無くなり、その姿を見る度に私が過去の女になって言っているような、そんな感覚に陥ってしまう。
そして祐也の中の私に対する好きという感情は現在から過去になり、私という存在は祐也にとってただの思い出になってしまいそうで私はこの時ゾッとしてしまい、強い恐怖を感じてしまう。
それだけは嫌だ。 絶対に嫌だ。
しかしながらそう焦る私の感情とは対照的に祐也は私を避け始めており、今思えばフった日から一度も祐也と一緒に遊ぶどころか一緒に登下校もしなくなっていた事に気づく。
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