第8話 ツッコミが追い付かない
聞き間違いじゃなかったっ! むしろ聞き間違いであってほしかったっ!!
「いやいやいやっ!? 一体どういう事ですかねっ!? てか氷室麗華さんが? 僕のペットに? いやあり得ないでしょうっ!! てかペットって何をするつもりですかねっ!?」
そして俺は思わず全力で突っ込んでしまう。
告白されているはずなのに、その告白の返答をする前に告白してきた相手を突っ込むって前代未聞だと思うんですけどっ!?
「何をするつもりだなんて、そんな事決まってるわね。 とりあえず初めに私の首に首輪をつけていただき、そしてその首輪にリードをつなげて、犬飼君と夜の公園なんかを散歩できたら最高だと思うのだけれども?」
そして氷室麗華さんは俺のツッコミに対して律儀に答えてくれる。 それはもう期待した眼差しで、それこそおやつを目の前に出された犬のような表情で。
「そもそも告白されたんだよね俺っ?」
「えぇ、そうですが? だからこそペットにしてくださいと申しているのですが? それに犬飼くんも先程『めちゃくちゃ、今直ぐにでも、何でもいいから、それこそ氷室麗華さんでもいいからペットが欲しいぜっ!!』と叫んでいたではないですか。 往生際が悪いですね、まったく。 そもそも私ほどの美少女をペットにできるのですからそれこそ二つ返事でペットにしたらいいじゃないですか」
「いやもう、どれから突っ込んで良いか分からないんだけど、とりあえず『犬か猫ならばいずれ飼ってみたい』とは言ったけど『めちゃくちゃ、今直ぐにでも、何でもいいから、それこそ氷室麗華さんでもいいからペットが欲しいぜっ!!』とは一言も言っていないからなっ!! そこだけはとりあえずツッコませてもらうからなっ!! それこそもし本当にそう聞こえたのならば耳鼻科へ行くことをおすすめするよっ!!」
「そんな、女の子に向かって『突っ込ませてもらう』だなんて、なんだかんだ言っても犬飼君は男の子なんですね……。 で、ですがそういう事はもう少しペットと飼い主として心を通わせてからですよ?」
「うんそこは普通ペットと飼い主じゃなくて恋人としてだと思うんだけどっ!?」
だめだ、話題を変えなければこのままではツッコミが追い付かない……。
「そ、そもそも何で氷室麗華さんは俺に告白なんかしてきたんだ?」
今までの高嶺の花で別世界の住人と崩れ去った今、俺は自然と氷室麗華さんへ敬語を使うのをやめていた。
「それは勿論私は犬飼君の事が異性として好きだというのもありますが、それでも私自身特殊な性癖だという事は分かっておますのでこの気持ちは心の奥底へ仕舞って表に出てこないようにしておりました」
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