第5話 妄想が止まりませんわねっ!!
それでもやはり私も思春期、恋する乙女真っ盛りな年頃なのである。 当然気になる異性の会話は気になるのでバレないように聞き耳を立てると、いわく『私から犬飼君へ告白されることはありえない』『もし告白されたのならば何でも言うことを聞いてくれる』と言うではいか。
この時ほど私は神様仏様その他なんやかんやご利益があるその他諸々の存在は確かにあるのだと思ったことはない。
だって、私が犬飼君に告白するだけで、私のお願いを何でも言うことを聞いてくれるというのだ。
こんな事ってあるかしらっ!?
朝から私は小躍りしたくなる程興奮して嬉しさが爆発しそうになるのだが、そこはグッと堪える。
何だったら今すぐにでも犬飼君の所に行って『私をペットにしてくださいっ!! 好きですっ、付き合ってくださいっ!!』と言ってしまいそうに……おっと、順番が逆でしたわ。 先に告白しないと
最後の最後、夢が叶う瞬間に何でもないような簡単なミスで私の手からこぼれ落ちてしまうような事はあってはならない。
やはり、感情に任せて今突っ走らなくて良かったと心から思う。
大事なことほど予習復習はしないと足元を掬われるものだ。
そして、どうせ告白するならムードとか場所とかにも拘りたい。
こんな大衆の面前などムードも無ければ、最悪犬飼
この学園には良くある幻の桜の木の下で告白すれば二人は一生幸せに暮らせるなどという伝説もなければ学校を象徴するような太く大きく樹齢も数百年などという木もない。
でも、例えば校舎裏で告白するというのも一周回って青春ど真ん中という感じで良いではなかろうか。
こんな場所で突撃告白するのよりかは何百倍もマシである。
そうと決まればあとは犬飼様……ご主人様を呼び出す為のラブレターを書く必要があるので、私は学校へ『少し調子が悪いので少しだけ遅れます』と電話を入れてコンビニへ向かうと、その中で一番可愛らしく、そして主張し過ぎていないレターパックを購入する。
このままだと私の一世一代のチャンスを棒に振る可能性があると考えれば、今の私はある意味で見方によっては『調子が悪い』という事になるので学校側へ嘘は言ってない。
あぁ、まさかこの私がラブレターを書いて校舎裏に呼び出し愛の告白をするという、普通の恋する女子高生のような経験をするときが来るとは、昨日まで想像もできなかったわっ! あぁ、どうしましょう! どうしましょうっ!! これからのことを考えると妄想が止まりませんわねっ!!
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