第3話 告白イベント
◆
そして放課後。
今日も今日とて平和な一日だったと思う。
俺の精神状態以外は可もなく不可もなく、授業を終えて終了。 後は家に帰ってご飯を食べてお風呂に入ってダラダラ過ごして就寝して一日が終わる。
今の今までそう思っていた。
しかしながら今日は放課後にイベントがあるらしい。
それも生まれてきて初めて体験するウベントである。
そのイベントとは告白イベントであり、告白(大爆死)したことはあれど告白をされたことは今まで無かったので流石にフラれて気落ちしている俺ではあるのだが少しばかりテンションが上がってしまうのは仕方のないことだと俺は思う。
「しかし、どうすっかな……」
正直俺みたいな奴に恋愛感情を抱いてくれるのは嬉しいのだが、問題はどうやってお断りするかである。
ぶっちゃけ今の俺では誰に告白されても流石に付き合える気持ちにはなれないし、こういうのはちゃんと好きな相手にだけ了承するべきだと思っている。
幼馴染であり親友でもある東條にこの考えを言った場合『子供みたいな考えだな。 今付き合っている相手がおらず好意を寄せる異性もいないのであれば初めに付き合ってから好きになるというのも良いと俺は思うぞ?』と言ってきそうなのだが、その考えにより俺という被害者が生まれたのだ。
その被害者である俺が朝比奈と同じ事をして良い訳がない。
なんか頭の中の妄想の東條が『お前そんなにモテてないだろうが』って突っ込んでくるのでここは俺の妄想からは退場してもらう。
実際こうして告白イベントが発生した訳だし、妄想の中の東条の俺に対するイメージは間違っていたという事だと思いたい。
そんな事を思いながら俺は東條には用事があるから一緒に帰れない旨を伝えた後、そそくさと校舎裏へと向かう。
その告白イベントなのだが、今日掃除の時間が終わって教室に戻り席に着くと、机の上に可愛らしい薄いピンクの封筒が置かれていたのである。
そして幸か不幸かまだその封筒の存在にクラスメイト達の中で気付いている者はおらず、俺はその封筒を見つけた瞬間に光の速さでポケットに仕舞うと、放課後東城と適当に用事があると理由をつけて別れた後、トイレでその可愛らしいピンクの封筒を開けて中身を読む。
するとそこには『犬飼さんの事が異性として好きです。 放課後校舎裏で待ってます』どだけ書かれていた。
これはもう間違いようもなくラブレターというものではないか。
あぁ、校舎裏が近づくたびに心臓の鼓動が激しくなってくる。
そして俺は逃げずに校舎裏へと歩を進めていく。
俺よりも間違いなく今俺の事を待ってくれている人の方が緊張しているにも関わらず、この緊張感に耐えられないのでやっぱり止めたというのはいくら何でも最低すぎる。
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