小遣い稼ぎのために、ネットオークションで幽霊を売る学生のお話。
幽霊を売る、なんていうと一見ファンタジーなようですけど、誰でも簡単に真似できちゃう方法であるのが面白い。
主人公自身が作中で言う通り、「詐欺商品」というのはまあそうだと思うのですけれど、逆に両者ともに納得ずくで取引するならありなのかも?
なんだったら彼の場合はちゃんとある種の誠意がある分、逆に立派かもしれないなんて思ったりしました。
ゴリゴリの怪談というよりは、都市伝説やネットロアのような味わいのホラーです。
ふわっとした不条理さや不気味さのような、じわりと寄せてくる恐怖感が魅力的。
あとはやっぱり主人公の彼が好き。
たぶんホラー小説としてはあまり良くない振る舞いをしているんですけど、なんとなく妙に親近感を覚えてしまう。
やたらサメに詳しい彼女も可愛い。サメはわかんないけど妙に植物に詳しい彼自身も好き。
身近で現実的な手触りが楽しいホラー作品でした。