第7話Dランク試験


 冒険者ギルドに出向くと、黄金の髪と瞳の男がいる。あの人が試験官だろうか?骨太の骨格と顔つきをしている。明らかな西洋人の特徴を持っている。甲冑姿で剣を腰に吊るしている。Bランク冒険者だろうか?周りの空気が違う気がする。こちらに近寄って来る。

「やあ、君が召喚術師の浅倉昇陽か、珍しい名前だね、この辺じゃ聞かないな。今日はよろしく、試験官のアイデンだ、Bランク冒険者だ。リラックスして行こう」

 どうやら人格者でいい人らしい。上に立つ人はこんな人だろうか、精神病院入院歴十年は伊達じゃない、社会の仕組みなどさっぱりわからなくなっていた。

「仲間は何人いる、モンスターも召喚術で従わせているようじゃないか?」

「ええと、最近入ったカグヤで五人ですね。モンスターは四体です」

「それじゃあ、ステータスを見せてもらおうかな、モンスターは除外でいい」

 昇陽レベル20 (呪い師)召喚術師

 HP1220         

 MP1508                   

 力134

 速さ178          

 体力212        

 器用156        

 魔力421        

 幸運0           

 スキル呪いレベル10

 スキル鑑定レベル10

 魔法火、水、風、土、光、闇(呪われている)

 耐性呪いレベル10

 耐性物理攻撃

 耐性魔法攻撃

 特技スキル呪い霊召喚

 特技スキル呪い反射

 特技スキル死の呪い

 

 ナーゼレベル60 剣士

 HP3728        

 MP8769       

 力386           

 速さ675                              

 体力832         

 器用1278         

 魔力745        

 幸運2076           

 スキル同期レベル10

 スキル夜目レベル10

 スキル鑑定レベル10

 魔法火、水、風、土、光、闇

 耐性呪いレベル10

 耐性物理攻撃

 耐性魔法攻撃

 耐性精神攻撃

 特技スキルハートオブキル

 特技スキル女神のキス

 特技スキル影分身

     

 クロウレベル37 戦士

 HP1789       

 MP465       

 力298           

 速さ687                          

 体力457         

 器用678        

 魔力254         

 幸運903

 スキル同期レベル10

 スキル夜目レベル8

 スキル鑑定レベル8

 魔法火、風、光、闇

 耐性呪いレベル10

 耐性物理攻撃

 耐性魔法攻撃

 特技スキル疾風迅雷

 特技スキル電光石火


 カムイレベル43 武僧

 HP2089       

 MP1346       

 力309           

 速さ345                              

 体力675         

 器用745         

 魔力456      

 幸運726         

 スキル同期レベル10

 スキル夜目レベル8

 スキル鑑定レベル8

 魔法火、水、風、土、光

 耐性呪いレベル10

 耐性物理攻撃

 耐性魔法攻撃

 特技スキル金剛力

 特技スキル金剛体


 イオナレベル33 精霊使い

 HP1109         

 MP2245       

 力156          

 速さ256                              

 体力367         

 器用786         

 魔力1208       

 幸運679         

 スキル同期レベル10

 スキル夜目レベル8

 スキル鑑定レベル8

 魔法水、風、光、闇

 耐性呪いレベル10

 耐性物理攻撃

 耐性魔法攻撃

 特技スキル水精召喚

 特技スキル風精召喚

 特技スキル上位の声


「これで、全員ですが、ステータス確認はいいですか?」

「ああ、いいよ、確認した。一部見えないがまあ秘密にしたいこともある。それで試験を開始するから、中庭に出ようか」

 アイデンさんのレベルを確認する。戦士レベル59ある。流石Bランク冒険者だ。アンネさんも付き添いでついてくる。中庭に大きな岩が鎮座している。

「これを破壊もしくは魔法で壊せば合格だ。単純だろ、前の事件で世界の貢献度は満たしているよ。後は腕と人格だ。試してみろ」

「じゃあ、一番レベルの高いナーゼで試してみます。いいか、ナーゼ」

「いつでも新しい特技スキルも手に入れたしね」

 向かい合うナーゼ。体がブレたかと思うと何体ものナーゼに分身する。細剣で数百回は大岩を切り刻む。大岩がばらばらに粉微塵になってしまう。剣は刃こぼれもしない。

「これはすごいな―――腕は間違いなくBクラス上位ある。人格もモンスターを駆除ついでに仲間にしているな。評価ポイントだ、後の四人も戦士、武僧、精霊使い、暗殺者か、バランスもいい。獣人とエルフと小人族か、昇陽は人間なのに才能を持っているね。人が集まる才能だ、モンスターも申し分ない、合格だ、おめでとう」

「昇陽様はDランク冒険者になりました。これからも頑張って、Cクラス、Bクラスの試験を合格してください。Dクラスの冒険証を発行しますね、お待ちください」

 アイデンさんとアンネさんは建物に帰る。

「良かったですね、昇陽様、無事合格できました。これでDクラスのクエストを受けられますよ」イオナは興奮しながら喋っている。

「腕がBクラス上位でも一度に取れないですね、残念です」

 クロウが少しがっかりしている。

「まあ、合格した、それは変わらないさ」

「腕はある、仕事をこなせばやがて認められるわ」

 カムイとカグヤは話している。


 冒険者の中の建物の中で、アイデンさんとアンネさんが話している。

「あれだけの腕の持ち主が集まっているとは調査不足だな」

「昇陽様の成長は期待大です。話したはずでしょう。冒険者ギルドに来て一週間も立っていないですよ。ギルドでも最短速度記録保持者ワールド・ホルダーです」

「召喚術師か、召喚主の力を増幅、強化しているのか、信じられないセンスだ、まだ、これで十代後半とはモンスターさえ使役している。王国に報告しておくか」

「まだ、成長途中です。穏便にお願いしますよ、

「わかっている、慎重に育ててくれ、いい冒険者になる。彼らは」

 ギルドマスターだったのか、驚いた。目立ち過ぎたか、呪い霊召喚で聞いていた。でも仲間の成長が誇らしく、そのままにして解除した。強くなれば必ずぶつかる道だ。今はDクラス冒険者だが、Sクラスを仲間と目指そうと心の中で思った。それは思ったより困難な道だと思う自分がいた。カグヤは耳が良くて聞いた風だったが、同期スキルで皆に回していた。

「これからどうします、Dクラスのクエストを受けますか?」

 クロウが聞いてくる。

「今日は休みにしよう、後で合格祝いを宿屋でやろう。自由行動だ、戦ってばかりだったから、女性陣とか買い物とかして来るといいよ。何かあれば同期スキルでわかるから、集合場所も決めなくてもいいね」


「昇陽、私と買い物しない?まだこの世界になれてないでしょう。いい店紹介するわよ」

「では、私達はそれぞれ休みをもらいます。私も色んな店を覗いてみます」

 クロウ達はそれぞれ行きたい場所があるらしい。

 カムイとイオナとカグヤもそれぞれ冒険者ギルドで別れる。私は久しぶりにナーゼと一緒に買い物が出来るので、少し高揚していた。デート気分だが、デートしたことないから、店を回ることにした。ナーゼは最初に何故か下着を見に行くことになった。宿屋は風呂がなくて、井戸で水浴びか、お湯で体を拭くだけである。女性下着はそれほど進んでいなくて古いデザインである。男性下着は丈夫な物なら何でもよかった。色気のない下着を見ながら、ナーゼは女神の仮初の力で、現代風の下着を作り出す。縫製もしっかりしている。デザインも豊富で微妙にエロイ。商会に売り込みに行こうと私の腕を引っ張る。商会ギルド長と話し込んで、売込みに成功する。大量発注してしまった。取り分はこちらがほとんどもらう。眼鏡の女性の商人ギルド長は終治感謝していた。


「昇陽の記億にある物はほとんど再現できるわよ」チートな反則な能力である。利権を女性下着でこの異世界で独占してしまった。月の金額を考えると、冒険者が馬鹿らしくなってくる。試しに子供用のサッカーボールを要求すると、魔力の分だけ作り上げてしまう。子供に見せて、下手なサッカーを見せると、あっという間に売れてしまった。

「ナーゼは金の成る木だね」と褒めると嬉しくないと答える。

 屋台の肉を盛ったお好み焼き風が売ってあったので、二人分買ってベンチで食べる。いい風が吹いていて、前からの疑問を口にする。

「ナーゼ、君は本当に仮初の存在かな?」

「どうしてそう思うの?」不思議そうに聞いてくる。

「前に質問した時まごついていたから、正直違うじゃないかと思った」

「細かいのね、病気治らないわよ。本当は仮初じゃなくて、上位の神からついて行くように説得されて、仕方なくついてきたの。後悔はしてないけどね、久しぶりの肉体は気持ちいいわ」


「嫌かな、私みたいな精神障害者と居るのは?」

「少なくとも退屈はしないわ、あなたはもっと自信を持つべきだわ」鼻の頭を指先で突かれる。顔が赤くなるが、黒い猫人の彼女は本当に魅力的だった。恥ずかしくて言えないが……。

「もう少し、店を見てこようか、ナーゼが女神でも私は変わらないよ」

「スイーツが欲しいわね、食べにいく?」

「甘い物は大好きだ」久し振りに笑った気がする。手を添えてベンチから起き上がらせる。

「他の皆はどうしているだろう?」

「クロウは酒場だし、カムイは神殿、イオナとカグヤは新作の下着に夢中ね」

「金策を考えなくてもいいけど、もうひと儲けする?」

「何を売り込むの?」ナーゼは疑問のようだ。

「オタク文化かも知れないけど、漫画本なんてどうだい?」

「紙に転写すればいいけど、一枚絵なんてどう?」

「高く売れそうだ、飾ることが出来れば、人物絵として理想かもね」

 紙を出して漫画本の巻頭カラーの絵を何枚か転写する。

「綺麗だね、私も漫画本を読んでいたけど、これは売れそうだな」

 額に飾れば中々絵になりそうだ。商人ギルドに行って試しに見せて見る。

「細かい描写ですね、独特の世界観があります。幾らしますか?」


「金貨五枚からです。色んな世界観があって物語があります。今にも動きそうでしょう」

「全て買い取ります。まだ在庫があるなら、こちらから取りに来ます。それでよろしいですか、それにしてもこの男の子美形ですね。この剣士は雄々しいです」

 女性の商人ギルド長だが新たな世界を開拓してしまったかもしれない。

 ファンが増えそうだ。ナーゼと手を繋いで宿屋の道を帰っていった。魔力の分だけ、僕の記憶の物を再現できるチートな女神は機嫌よく手を振って、嬉しそうに笑っていた。


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