第2章 お決まり模擬戦と冒険者活動
第8話 冒険者登録のお決まり歓迎試合!
ミナトは、冒険者ギルドにやってきている。
見回すと凄い筋肉を身に纏った強そうな人から魔法使いらしい格好の人などいろんな人がいた。
「おい!子供がなんで、ここにいるんだ?」
不意に後ろから声をかけられて、振り向くと斧を背負ったゴリゴリマッチョのおっさんが立っていた。
「これから冒険者登録するとこだけど」
「死にたくないならやめとけ」
「忠告ありがとう。でも見た目より弱くないから安心してくれ」
そう答えると、その男は何やら悩んでいるようだ。そして、周りにいる冒険者達は「家で母ちゃんの手伝いでもしてな」や「先輩の忠告は聞くもんだ」などと笑いながら言っていた。
「じゃあ、俺が見定めてやる。冒険者になるには、試験があるんだ。誰でも登録出来たら死人が溢れちまうからな。お〜い!エルマ、こいつ冒険者になりたいらしいんだが、俺が試験官をやるけどいいか?」
どうやら喧嘩を売ってきたのではなく、心配してくれて声をかけてくれたようだ。
「ドン様、また世話焼きですか?好きですねぇ。わかりました。すぐに、訓練場の準備をしますから降りて来てください」
ミナトの返事を聞く前に、どんどんと話が進み試験の準備が進んで行く。
そして、「おい、行くぞ」とドンから言われたので、何もわからぬまま訓練場に向かう。
「私は、受付嬢のエルマと言います。えっと、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
試験を受ける訓練場につくと、受付にいたエルマが話しかけてきた。
「ミナトと言います」
「ミナト様、試験の説明を致します。まず、殺しは禁止ですので、あちらにある木剣を使って下さい」
ミナトは、エルマが指を差した方向を見る。すると、木剣だけではなく、ナイフや斧など色々な武器置かれていた。
「そして、戦闘不能または危険と判断した場合は、その場で負けを宣言させて頂きます。ドン様は、試験官として慣れていますので、手加減はしてくれると思いますが、無理と思った段階で降参して下さい」
「丁寧な説明ありがとうございます」
エルマに対してお辞儀をした。
子供なのと冒険者になろうとする人に、こんな礼儀正しい人がいないのでエルマは驚いてしまう。
「よし!ミナト。全力を出してみろ。冒険者としてやっていけるか見定めてやる」
「よろしくお願いします。じゃあ、お言葉に甘えて全力で行かせてもらう」
観客席を見てみると、冒険者達がどんな戦いをするのか気になったのか、大勢が集まっていた。
『ナノ、気を付けた方がいいことある?』
ミナトは、強くなったからといって過信することはなく、ナノにアドバイスを求めた。
『パワータイプだと予想できますので、受け流しながらチャンスを狙ってください。あと、体重移動から攻撃をしてくる方向をお伝えできますよ』
『え?そんなことも出来るのか!?是非頼む』
ミナトは、また知らないナノのチート要素を知ることになった。まさかの先読みという戦闘において、一番のアドバンテージを簡単に手に入れられたのだ。
『畏まりました』
ミナトは、反則だとは思ったが、相手の強さもわからないのと、絶対に冒険者にならないといけないので、ナノの力をフルに使わせて貰おうと考えた。
「では、両者準備はよろしいですか?」
エルマが、審判を務めるようで、中央に立ち両者に尋ねる。
「あぁ」
「俺も大丈夫です」
ドンは、木斧を担ぎ、ミナトは木剣を構える。
「では、試験始め!」
先程まで棒立ちで木斧を担いでいたドンだったが、エルマの始めという合図と同時に、ミナトに襲いかかってきた。
『左から来ます。いなした後、死角となる左から攻撃して下さい』
『了解』
試合が始まる前に、ナノが言っていた通り動きを先読み出来るようで、ドンは木斧を左から振ってきた。そして、ミナトは言われた通りに木剣でいなしてから、子供である軽さを生かして回転しながら左の側頭部を狙う。
「くっ、危ねぇ」
ドンは、死角からの攻撃にも関わらず頭を下げて避けた。ミナトのことを子供と思い侮っていたが、一流の冒険者なのだろう。すぐさま反応して見せる。
「あれを避けるのかよ」
少ない攻防だったが、まさかドンの攻撃を躱して、攻撃まで繋げると思っていなかった観客達は「ワァー」と盛り上がりを見せた。
「ほう、子供だと思って侮ってたが、強さを改める必要があるな。少し本気で行くぞ」
そう言うと、ドンの目付きが変わりさっきよりも早いスピードで迫り攻撃をしてくる。
『右、上段、左、右、右、次上段の攻撃をいなしてから投げ飛ばして下さい』
ナノの言う通り、全て躱してから最後の上段からの攻撃をいなして、バランスを崩したドンの腕を取って投げ飛ばす。
「うぉっ」
まさか投げ飛ばされると思っていなかったドンは驚いた声を出す。見事に投げ飛ばされたドンは地面に叩きつけられた。
そしてミナトは、木剣をドンの頭にコツンと当てる。
「勝ちでいいですか?」
「え?は、はい!勝者ミナト様」
エルマは、目の前で起きている攻防に目が点になるほど驚き呆けていたが、ミナトから尋ねると意識が戻り勝者宣言をしてもらえたのだった。
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