第1章 目覚めと異世界とテンプレ
第2話 相棒ナノと初の会話!
「うぅ......んっ!ここはどこだ!?」
ベッドから起き上がりキョロキョロと周りを見渡すが、見知らぬ小屋の中だ。
唯一あるのは、ベッドと台所らしき所と棚があるくらいだ。
湊はベッドに腰掛けながら、状況を整理する。
「昨日は、確か......あれ?思い出せない。意識が途切れる前に変な声がしたんだよな。でもなんだったっけ?って腹が腹がへこんでる〜!しかも二重顎がない!それに、髪が髪が生えてるぞ〜」
腹や顔や体全体を触って、痩せたことに驚く。だが、1番歓喜したのは、波○さんだった頭からフサフサの髪の毛が生えていることだ。
「待て待て!俺よ冷静になれ!そんな訳ないじゃないか。これは、きっと夢だ。痛ててて」
夢だと思ったが、現実であってほしいと願いながら頬をつねって確かめると、頬には確かな痛みがある。その瞬間、パチクリさせてベッドから飛び起きた。
「まさか......現実なのか?まぁ待て。まずは、鏡を見てって鏡はないのか。それなら......」
湊は、台所に行ってあるものを探すが見つからず、キョロキョロする。すると、水瓶を発見したので覗いてみた。
「誰だ?これが俺だって?ブヨブヨの醜い顔じゃない!しかも、若いしカッコイイし髪の毛もフサフサ。よ、よ、よっしゃぁぁぁぁ」
大声を出しながら手を高らかに挙げてガッツポーズする。そして、暫く自分の変わりように歓喜し余韻を楽しんだ後、現実に引き戻された。
「んで、ここはどこなんだ?自分の容姿に見惚れてしまって、すっかり頭から抜けていたな」
『そろそろよろしいですか?ご主人様?』
「え?なに?だれかいるのか?」
『落ち着いてください。私は、ご主人様の中から話しています』
急に、話し掛けられて驚きと誰が話しているんだとなる。しかも、話しかけてきた人物は、湊の中から話しかけているという訳の分からないことを言っている。
「またまた〜そんなこと言ってどっかに隠れているんでしょ。ここかな?それともここかな?何もしないから出ておいで〜」
湊は、台所の戸棚を開けたり、ベッドの下を覗いたり、棚の隙間を覗いたりする。
『あの〜何もしないからという発言は、変質者か不審者としか思えませんからやめて下さい。ご主人様が、変質者とか耐えられません。それと、何度もいいますが、私はご主人様の中から話しています。そろそろ現実を受け止めて現状がどうなっているのか理解して下さい』
それを聞いた湊は、拗ねたように口を尖らせる。
「ちょっとした冗談だろ?それで、俺は一体どうしたんだ?この変わりように、見たこともない場所。何がどうなっているのかさっぱりだ。知っていたら教えてくれ」
『やっとまともになりましたね。まずは、忘れた記憶をインストールしますので、気を失う前のことを思い出して下さい』
そう言うと、湊の頭の中に一気に記憶が流れ込む。一気に、記憶を呼び起こしたせいで、湊は気持ち悪くなり吐き気を催した。
「うぇ〜クラクラするし気持ち悪い......でも、気を失う前の記憶は思い出したよ。って、まさか本当に神様が関わっているのか?でも、あの神様が言うようなしごかれた記憶もないしな......」
『次に、聴覚からの記憶になります。インストールしますね』
湊の言葉を無視するように、声を主はどんどん先に進めていく。しかも、次のインストールは、先程より情報量が大きいので、頭が割れるように痛くなるのと、クラクラして嘔吐してしまう。
「うげぇ〜、あぁ死ぬ......でも全部理解した。よくわからんマッドサイエンティストが俺を実験に使ってナノマシンを注入して、どこか別の世界に送ったと。で、この注入したマッドサイエンティストの正体は分からないのか?」
最初に話しかけてきたスサノオという神様の場所へは行かず、マッドサイエンティストが割り込んで、湊を実験体にした。しかし、肝心の誰がこの世界に送ったのかがさっぱり謎なのである。
『はい。私にもわかりません。その情報と記憶がないのです』
「そうなのか......まぁ仕方ないな。それより、この体型と顔にしたのはナノマシンなのか?」
『はい!不健康体だったので健康な体にしました。それと、記憶を遡るとイケメンになりたいという願望と頭皮を気にされていたので、勝手ながら造り変えさせてもらいました。ご満足頂けましたでしょうか?』
それを聞いた湊は、ご満足もご満足!文句の付けようがございませんと言うような顔をした。
「大満足だ!でも、なんで少年なんだ?俺の理想だと青年くらいでよかったんだが......」
『う〜ん!?人間の寿命は短いですから、ご主人様と長くいるには少年が理想だったのです。ご不満ですか?』
湊は、ナノマシンだとわかっていても、かわいい声の主に、ご主人様と長くいたいと言われて胸がドキッと高鳴る。
「ナノ!俺は、少年になれてよかった!不満なんてないし、俺もナノとずっと一緒にいたいと思うよ」
「ご主人様、すぐに一緒にいたいとか軽々しく言ってはいけません!だからモテないんですよ。でも、少し嬉しかったかもしれません。それより、ナノとは私のことですか?」
ナノは、可愛らしい声で注意をしたあと、顔は見えなくても照れながら喜んでいるのがわかる声色に変わった。
「ゔっ、モテないのはわかってるからやめて......40年間女性の手すら触れたことがないんだ。それに、ナノのその声は反則だ!くぅ~、可愛すぎる!ふぅ〜、ちょっと待ってくれ.....」
ナノの可愛い声にやられた湊は、深呼吸をして冷静さを取り戻した。
「落ち着いた!名前に関しては、ナノマシンだと長いし可愛くないからナノにしてみた。嫌なら変えるけど」
『ナノは、新しい目標が出来ました!ご主人様を立派な男性にしますね!この世界では、結婚しましょう!それから、ナノ気に入りました。これより、ナノを呼ぶ時はナノとお呼び下さい』
同情されたのか、ナノマシンの使命感を帯びたのかはわからないが、ナノは湊を立派な男性にするプロジェクトを勝手に立ち上げた。それから、ナノという気に入ってくれたようで、少なからず湊とナノの距離は縮まったのだった。
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