攻撃した敵を強化するクソスキル『腹パン』のせいでパーティー追放された俺、いつのまにか最強サポーターとして超有名になっていたんだが
アカバコウヨウ
第一話 腹パンでヒロイン強化できるってマ?
「オズ様……あの石像が十層のボスなのですね?」
と、言ってくるのは聖職者のような金模様の入った白いローブを纏った少女。
美しい金の長髪と碧眼が特徴の彼女こそは、ミーシャ・ライゼス。
オズの現在のパーティーメンバーにして、ヒーラー担当だ。
オズはそんなミーシャへと言う。
「うん。あと少しでも近づいたら、あのボスは襲ってくるから気をつけて」
「は、はい!」
と、杖をギュッとやや豊満な胸元で握りしめるミーシャ。
きっと緊張しているに違いない。
故にオズはミーシャへと言う。
「大丈夫。さっき話した通り、今の俺たちの実力なら苦戦はまずないよ」
「オズ様は前のパーティーの方と、ここは踏破されたのですよね?」
「うん、だから大丈夫。何かあってもサポートできる知識はある。それにそもそも、何かなんて起きないよ」
「そう、でしょうか……そうです、よね! わたし、オズ様を信じます!」
と、今度は自信ありげな様子で杖をギュッと握るミーシャ。
さて、いつまでもここで立ち話はなんだ。
ミーシャの自信を確信にも変えてあげたい。
などなど。
オズはそんなことを考えた後、ミーシャへと言う。
「それじゃあ準備はいい?」
「はい! バッチリです!」
と、瞳をキラキラ言ってくるミーシャ。
ならばもう、オズがやることはただ一つ。
「……」
と、オズはゆっくりとミーシャと向かい合う位置に移動。
そして両足を肩幅に開き、左手を狙いを定めるように前へ……右手を弓矢のように後ろへと引き絞り——。
殴った。
全身全霊の一撃を、ミーシャの腹へと解き放った。
「お゛……っ」
と、唾と共に痛みに苦しむ様子の声を出すミーシャ。
オズの拳が深く、深くミーシャの腹に食い込んだのだ。
(完全にキまった。文句なしの一撃だ)
などと考えたのち。
オズがミーシャの腹に食い込んだ手を引くと。
「か、は……っ」
と、腹を両手で押さえて崩れ落ちてしまうミーシャ。
オズはそんな彼女を見ながら思う。
(この時のために筋トレもめちゃくちゃした! 今の一撃はまさしく渾身……さぁ、結果はどうだ!?)
などと考えている間にも。
ミーシャは腹をおさえたまま、なんとかといった様子で立ち上がり。
「う……すごい、威力です…….オズ、様っ」
と、そんなことを言ってくる。
何度やってもこのスキル『腹パン』は慣れない。
しかし、これが発動条件なのだなら仕方ない。
などと、考えている間にも。
「っ! きました……オズ様! 力が、凄まじい力が溢れてきます!」
と、唐突に元気になるミーシャ。
それどころか、今の彼女は見てわかるほどに生命力に満ち溢れている。
それこそ、目の前のボスモンスターがちっぽけに見えるほどに。
「よかった。大丈夫そう?」
「はい! これなら、オズ様が与えてくれたこの力なら倒せます!」
と、オズの質問に対しそんなことを言ってくるミーシャ。
彼女は杖を剣のように持つと、オズへと背を向けて言ってくるのだった。
「それでは、行ってまいります!」
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