日本人だけ国語やり直し!

超時空伝説研究所

第一日 初めに混沌ありき。

 はじめまして、神です。

 ずいぶん昔、天と地を創造したんです。ええ、大変でした。

 地はぐちゃぐちゃで、真っ暗で、とにかくじめじめしていました。


 だから、「光あれ」って言ってみたんです。はい。

 そこからはとんとん拍子ですよ。神ですから。

 六日で世界を創造し、生き物を生み出し、人間を作りました。仕事は早い方です。


 七日目はお休みにしました。ブラックはいけません。ブラックは。


 お判りでしょうか? 秘訣は「ことば」なのです。「光あれ」といったから光が生まれたのです。

 有言実行です。神ですから。


 神のデザインの下、神のことばにより世界は作られたのです。繫栄は約束されていたのです。

 それがどうでしょう? 人間は国々に分かれ、争いが後を絶ちません。戦争、恐慌、貧困、飢餓……。


 驚きました。そんなはずはないだろうと。

 原因を探りました。すぐ判りましたよ、神ですから。


「日本」という国です。ここが諸悪の根源でした。

 どこが悪いか、ですって?


 混沌です。「光あれ」ということばで追いやったはずの混沌が、この国を支配していたのです。

 そう、「ことば」です。「日本語」という混沌です。

 混沌がゆえに、日本は真の国際化を遂げることが出来ず、「世界」と一体化することがないのです。


 ゆえに世界は不完全なまま、人類は統一されることなく今も混沌の中にあるのでした。


 ああ。なんという醜い世界でしょう。

 私は耐えられない。私のデザインとは似ても似つかぬ。


 私は決意した。この混沌を晴らさずにはおかない。日本語という混沌を払わずにはいられない。

「光あれ」ということばに代えて、新たなことばを口にしよう。


「日本人だけ国語やり直し!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る