SSSキャラに転生した俺氏、ヤケクソになり新米マスターに召喚される

猫鍋まるい

序章 私のデモン

(NEW)第1話 俺が召喚される側!?

 山のように積もった遺灰、その頂に。


 同族たちの骸を用いてこさえられた玉座が一つ。


 されど、そこに座す者王の風貌に非ず。


 その身を包む漆黒の鎧に刻まれた古傷が、こびり付いた返り血が、この者の在り方を示していた。


 戦地に身を置く一介の騎士でありながら、魑魅魍魎が跋扈するこの魔界において”逃れ得ぬ死”と畏怖された破壊の体現者。


 死滅の騎士、エデン。


 数多の屍を築き、手にした束の間の平和でさえ退屈だというように。


 黒き騎士は夜空に向い、大地振るわす雄叫びを上げるのだ。






 ◇◆◇






「■ォォォォォォ■■■■■ァァァァァ! 」


(ぬぉぉぉぉぉぉ暇なんじゃぁぁぁぁぁ! )


 降りかかる火の粉を払ってるうちに、同族にまで恐れられ第二の生を受けて早々にボッチになってしまった可哀想な子とは俺の事です。


(あァ゛ー…というか、いくら好きなキャラとはいえ自分がなるってのは違うんだよな~)


 憑依なのか転生なのかは分からないが推しはひたすら愛でたい派なんで、成り変わりはテンション上がらんのですよ…ハイ。


(まあ、とはいえ…。 この地獄のような世界の事を考えれば、この身体に生まれてこれたのは数少ない幸運か)


 育成バトルRPG、アダムスコード。


 生まれ変わる前、つまりは前世にドハマりしていたこのソシャゲの世界に俺は何故か死滅の騎士ことエデンとして気づいた時には存在していた。


 死因などはまったく覚えていない癖に、やり込んでいたこのゲームの知識だけは無駄に魂に刻まれていたようで。


 この世界の人類が主人公であるプレイヤーの働き次第では割とあっさり滅んでしまいそうなことや、人間の他に魔界に住まう魔徒デモンや天界に住まう聖徒セインといった幻想生物のような奴らが普通に存在していることも覚えていた。


 アダムスコードは特殊な力に目覚めた主人公が魔界や天界から召喚したデモンやセインの力を借り、様々な危機に立ち向かっていくゲームだ。


 物語の舞台は地球によく似た星であるアースターに存在する日本をモチーフにした国、日ノ照ヒノテラスから始まる。


 日ノ照三大都市の一つである新東都しんとうとに住まう一学生であった主人公が、ある事件に巻き込まれデモンもしくはセインを召喚するところから本編がスタートするのだ。


 育成RPGであるアダムスコードは随時更新されていくストーリーモードとは別に、他のプレイヤーと自身が育て上げたデモンやセインを戦わせる対人戦が用意されており、公式の世界大会が何度も開かれるほど賑わいをみせていた。


 俺自身も時間とリアルマネーと愛を注いだ自慢のパーティーでランク戦に潜り、日夜世界中の猛者たちとしのぎを削っていたわけだが…。


(まさか召喚する側じゃなくて、される側に転生するとはなぁ…)

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