第48話
「ロレッタ、君は手紙に何を書いたんだ?」
ルフレシアはロレッタの手紙を受け取ってからその態度を一変していた。
罪を認め、様々な情報を話すが唯一ロレッタとの手紙の内容だけは話さなかった。
「聞きたいのならロレッタ様にうかがってください」
ルフレシアは話す気が無いらしく聞けば必ずこう答えた。
そこでフレッドはロレッタに聞いてみた。
「別に、ルフレシア様が諦めないように…少し嘘を書いてみました」
「えっ!?嘘!?」
「嘘の中に少しだけ本当を混ぜ込んで…でもルフレシア様なら奮起して罪を償ってくださるかと…」
ロレッタは少し寂しそうに笑った。
「だからって君が嫌われるような事を…」
フレッドは心配そうにロレッタの悲しそうな頬を触った。
「私は大丈夫です。だからそんな顔なさらないでください、別に気にしてませんから…コレでフレッド様への気持ちが少しでも変わってくれるように…やはり元は好いた同士それにルフレシア様のお家も国からしたら険悪にはなりたくない相手でしょうから」
ロレッタは心配そうにするフレッド王子の頬を苦笑してそっと撫でた。
「ただ、向こうの国での事を少しだけ書きました・・・」
「コスリガ国の事を?」
「はい、昔を思うと今の暮らしは本当に夢のようです。私を求めてくれる人がいて、私もそれに応える。関心がない事が一番辛い事です・・・そして諦めることも・・・」
そう言って王子の腕をそっと触る。
「その事に気付かせてくれたのはルフレシア様でした。確かにあんな思いはもうしたくありませんが・・・そのおかげで王子に自分の思いを伝えられました。あれがなければ私はずっと気持ちに蓋をし続けていたかも知れません、それだけは本当です」
「そうか・・・」
「だからしっかりと罪を償ってまたお会い出来るのなら・・・その時は本音でぶつかって見たいと思いました」
「本音?」
「今度こそ、本当の友になって欲しいと…」
ロレッタは恥ずかしそうにしながらもしっかりとフレッドの瞳を見つめる。
「ロレッタ、なんだか強くなったな」
フレッド王子が笑う。
「こんな私は嫌ですか?」
ロレッタはうかがうように聞いてみた。
「いや、悪くない」
フレッドはにやりと笑うとロレッタをだき抱えた。
そのままベッドへと連れていく。
「今日こそは・・・」
最後まで
フレッドはロレッタをそっとベッドに下ろすと、顔を近づける。
フレッドからのキスに少しだけ慣れたロレッタはそれを受け入れた。
「ふふ、なんだかついこの間までの私が嘘のようです」
「なら、もう少し本気を出してもいいのかな・・・」
フレッドが優しく押し倒すとロレッタは目を見開いた!
「え・・・あれは本気ではなかったのですか?」
「ではどう違うのか教えようか?」
まずは・・・とフレッドはロレッタの可愛い唇にキスをした。
「はい・・・フレッド様の全てをください」
恥ずかしがりながらも真剣に向ける瞳にフレッドは気がつけばロレッタに覆いかぶさっていた・・・・・・
◆
「おはようございます!」
エミリーさんの元気な声とノックの音にフレッドは目を覚ました。
隣ではまだ夢の中のロレッタが寝ている。
昨日はさらに無理をさせすぎた。
ようやく本当に結ばれる事が出来たフレッドは自分を抑える事が出来ずにロレッタに無理をさせすぎた。
今まで何度もお預けをくらい我慢していた反動がロレッタの一言でタガが外れてしまった。
優しくロレッタの頬を撫でるとモゾっと動き出して瞳が動き目を覚ました。
「ふれっど・・・さま・・・」
甘ったるい声で名前を呼ばれればまた体が熱くなる。
フレッドはエミリーの視線に気がつくとロレッタにシーツをかけて瞳を閉じさせた。
「ロレッタはまだ寝ていなさい」
「えっ・・・」
ロレッタの戸惑う声がするが優しく頭を撫でてやればまた寝息が聞こえてくる。
「おつかれのご様子ですね・・・王子程々になさってくださいね!」
ロレッタが寝るのを確認するとエミリーからチクチクと視線が刺さる。
「わかってる」
王フレッドは上着を羽織ると浴室へと向かった。
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