第49話

着替えを済ませて執務室へ向かうと、シドが相変わらず眉間に皺を寄せて渋い顔をしている。


「なんだ?ルフレシアの事も方がついたのに浮かない顔だな」


フレッドが声をかけるとジロッと睨まれた。


「そりゃそうですよ!ルフレシア様の処分はこれからですし、どこの収容所にするかまた決まっていませんからね!それなのに次々に問題が・・・」


「またなんかあったのか?」


フレッドさすがにため息がでる。


「今度は隣のコスリガ国ですよ、とうとう反乱軍が出来て王族や貴族達が逃げ出したようです」


「そうか・・・ロレッタの元婚約者のあいつは何処に行った?」


「それが・・・」


シドはさらに顔をしかめるとフレッドの顔を見つめる。


「まさか・・・この国に?」


「はい、そのまさかです。我がアルゴラ国とコスリガ国を結ぶ境界の門に到着して我が国に入る事を望んでいるそうですよ」


「馬鹿なのか?ロレッタを差し出しておいて自分達もここに来ると?」


フレッドが呆れる。


「そのロレッタ様がいるから来たそうです・・・例の妹も一緒だそうですよ」


「なに・・・あの馬鹿王子ロレッタの妹を連れて来てるのか?」


「はい、ロレッタに会わせて欲しいと・・・そして自分の保護を求めているとか・・・」


あまりに身勝手な要求にシドもどう対応したらいいものか悩んでしまっていた。


「そのまま置いおけばそのうちに反乱軍に見つかり処分でもされると思いますが、どうしましょう?」


「国王はなんと?」


「フレッド様の采配に任せると・・・そんな小国の問題など気にも止めていないのでしょう」


フレッドはどうしたものかと考える。


ロレッタの事を捨てたあいつらを保護する気など毛頭ない。


しかし捨ておいたと後でロレッタに知れたロレッタはどう思うだろうか…


自分なら目の前で打首にでもされたら喜ぶがロレッタが自分と同じとは思えなかった。


「どうします?捕まえて打首にでもしますか?この国になんの利点も無いと思いますよ。それどころか病原体となって国を滅ぼすかも知れません」


シドが淡々と言う、自分と同じ考えに思わず笑ってしまった。


「それが妥当な気がするが金も返して貰ってないからなぁ…なんの役にたつのやら…」


でも少し話して見たいとも思った。

自分の知らないロレッタのどこまでを知っているのかも…


「馬鹿を保護しろ」


「え!保護ですか!?」


シドが信じられないと大声をだした。


「保護といっても話を少し聞きたいだけだ、客人としてもてなせとは言ってない」


「わかりました、では入国審査の部屋にでも通しておきます」


シドは市民と同じ扱いをするとニヤリと笑う。


「それでいい、何かあったら呼んでくれ少し落ち着いたら話を聞きに行く」


「はい、はい」


シドは資料を片手に部屋を出ていった。


「あの態度…一度締めといた方がいいかな…」


フレッドは家臣の態度に疑問を感じていた。

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