第39話
「ふ、ふん…少しってどうせ死罪は決まってるんだろ…」
ペストンは言葉遣いを崩すと諦めた様にドサッと床に座り込んだ。
意外な反応にシドが驚き眉をあげる。
「おや?抵抗はいいのですか?」
「別にいい…この話を打診された時に色々と覚悟を決めていたからな」
ペストンはやれとばかりに後ろを向いた。
「好きに殺せ、まぁ一思いにやってくれるのが一番嬉しいが…」
「ではこの計画の事を全て話せばひとおもいに殺して差し上げますよ」
「それは…出来ない。今回の事は全て自分がやった事だあなた達はルフレシア様の事を聞きたいんだろうがあの方は何もしていない全て悪いのは私だ」
「わかった」
フレッド王子は一言そう言うと部屋を出ていく。
「え?な、何もしないのか?」
「今はな…それに楽に死ねるなんて思うなよ」
フレッド王子はジロリとペストンを睨みつけて部屋を出ていった。
シドが後を追うように外に出ると兵士に誰も出入りしないように見張れと声をかけた。
「しかし王子、よく手を出しませんでしたね」
からかうように声をかけると
「うるさい…今回の事は自分の不甲斐なさからだからな…一番許せないのは自分自身だ」
フレッドは苦々しい顔をしている。
「よくおわかりで」
シドがクスクスと笑っているのをフレッドは見て見ぬふりをした。
「それよりもペストンをもっとよく調べろ、あいつにはまだなにかある気がする。打診…と言った事も気になる。何か裏がありそうだ」
「そうですね…もう少しペストンの周りを調べて見ましょうか…でもその前にルフレシア様はどうされますか?」
「彼女とも話をしよう…」
フレッドは顔を引き締めてルフレシアがいる取り調べ室に向かった。
取り調べ室の前には同じ様に兵士が立っており、フレッド達は部屋へと入る。
「あっフレッド様…ごきげんよう。お久しぶりですね」
ルフレシアはフレッドの顔を見るなり妖艶に微笑んだ。
「ルフレシア、なぜこんな事をしたんだ…」
「それは王子がよくわかってらっしゃるのでは?何処かの小娘に夢中になって…女を怒らせると怖い…ってわかったんじゃありません?まぁ私は関係ありませんけどね」
「くっ…」
「関係ないってルフレシア様のだしたお茶を飲んでロレッタ様はあんな事になったのですよ?」
「私は無理に飲ませてなんていませんよ、それに全く同じ物を私も飲んでおります。自分が飲んで安全だと思った物をお出ししただけですよ?」
「あなたも…飲んだのですか?」
シドが驚き聞き返す。
「ええ、もちろん。なんでしたらここで飲んで見せましょうか?」
自信満々に微笑む姿に嘘ではないと感じた。
「それでも具合の悪いロレッタ様を残して男と二人にさせるなど…」
「それはロレッタさんが私を拒否したからです。それに具合の悪い彼女を一人あの場所に置いてこいと?あの男は私の…まぁ従者みたいな者ですから看病しろと命じただけ…その後あの男がロレッタ様を襲ったのだとしたら私から出来るのは謝罪とあの男を罰する事だけです」
「自分に何も非はないと?」
「いえ、あんな事になってしまったのには大変心苦しいです…私はただフレッド様が大事になさっている方と仲良くなりたいと思っていただけで…」
ルフレシアの瞳から一雫水が零れた。
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