第14-3話 歪んだセカイ



「討伐証明を取って帰ろうか。それとグレゴリーの遺体も」


朦朧とした意識の中で、声が聞こえる。

今度こそ無理そうだ。

焦点が合わない。


「耳以外はいらないからまとめて焼こうか」

「ん、わかった」



ドスドスと何かを放り投げる音がする。そして合間に湿った何かがぶつかる音もした。


意識が体から半分抜けたようだ、思考もままならない。


このまま寝たら気持ちよさそうだ。



足の先から寒気が少しずつ上ってくる。

死に対する恐怖と無気力が半分ずつ心を占める。



「最近は賢い魔物が増えてきましたね、とても怖いです」

「ん、こいつもそうだった」



俺の目の前に何かが転がる。



なんだろう。ふと、気になった。




ぼやけた視界がゆっくりと鮮明になっていく。


流れているのが血だと気付いた。


首の断面が見えた。中を白いものが通っている。


少し崩れた顔が見えた。見たことのある顔だ。


今日の朝もその顔に見送られたのだ。わからないはずがない。




「…み、ぐ」



ああ、約束




約束、したのに、守れなかった。誰との約束だ、ゴーガ、ゴーガとの約束だ。そのために生かされたはずなのに、そのためにみんな死んだのに、俺だけ生き残ったジーも死んだギーもみんなのために死んだ長老も守るために死んだのに俺だけ生き残ったにせものの俺だけがいきのこったみんなをまもらなきゃいけないのにみんなってだれだおれがしなないといけなかったのにだれよりも俺がわかっていたはずなのに助けないとみーとも死んだおれがよわみぐも死んだいからまもられたつよくないとおれが助けないとおれがおつよくれがお守るれがお殺すれれ俺俺オロおれれおれオロエロえれレオエロろれおもうれまけないおおれおれが俺俺俺オロエロ俺俺俺俺俺俺俺俺俺お俺オレオレおおおおギーも死んだおおおおれれれれれジーも死んだれれれれれががが俺俺俺おれろゴーガも死んだえれ俺俺俺俺オッロ仲間は死んだロロロレ俺は死ななかったレオロれただみんなと俺俺俺俺オ生きていたかったッ露えそれだけろえろえろ十分だ絵俺お幸せに俺俺俺が俺オレオなりたいレ顔ガガガゴレオレオがオロエゴあれ俺大子レオがおおおおおれれレオが顔がオレオら俺が俺が俺が




俺は、ただ




「『捧げよ』」



「!まだ生き残りが」


俺の声に気付いた彼らが武器を構え近づいてくる。


「『さすれば』」


「まずい、とどめを」




「『仇、得られん』」


ただ、強くなりたい






そして、俺の視界は暗転した。



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