僕と先輩の秘密の共有

抹焼

第1話 先輩との再会。

 春、それは、出会いと別れの季節である。春の暖かな日が差し、僕、羽川優太はあまり人が通らない通学路を通り、学校に向かっていた。


 この通りはあまり、人が通らず、何人か人が通るのは意外に珍しい光景である。

たとえば、人目を避けて、散歩をしたい人などが歩いている。


 とかいう、僕もその一人なのだが、外に出してぬいぐるみを持って学校に行きたいときは、僕もこの道を使うのだ。


 そして、今日は高校の入学式なので、早めに家を出て、ぬいぐるみと一緒に歩いている。ぬいぐるみ好きな僕にとっては最高の道なのである。


と思いつつ、ぬいぐるみを腕に抱きながら、歩いていると、道端に中くらいのぬいぐるみが落ちていた。ぬいぐるみが好きな僕としては、拾って洗ってぬいぐるみの持ち主に返してあげたいのだがどうしたものか。まぁ、考えてもいい案が浮かばないので、とりあえず拾って、洗って、持ち主に返すことにした。


 僕は、鞄から予備の中くらいのぬいぐるみが入る袋を取り出して、落ちているぬいぐるみを拾い上げて、その袋にに入れ、学校に向かった。


 そして、僕がこれから入学する学校、私立青春桜花高校に着いた。


校門の前には、あまり人が来ておらず、人もまばらだった。


 僕は、腕に抱いていたぬいぐるみを拾ったぬいぐるみとは違う袋にに入れて校門を通ろうとしたが、一人の女子生徒が目に入った。


あまり人がいない校門前で、何か探し物でもしているみたいだ。

あまり、面倒なことには関わりたくないと思い、そそくさと学校に入ろうとしたら、その女子がこちらを向き、「あの!」と声をかけてきたので、その女子生徒と目が合った。そして、僕は、その女子生徒の姿を見て、驚いた。その女子生徒は、縫野先輩だった。


 先輩は、目が合っただけで、僕の顔をよく見ていないのか気づかないまま、話を続けた。


「あの!、このあたりで、ぬいぐるみを見ませんでしたか?こう、腕で抱けるくらいの」と先輩は言い腕を動かして見せた。


その動作が、可愛くて、つい、にやけてしまった。だが、にやけていてはダメだと思い、話を続けるように学校に来る途中に拾ったぬいぐるみのことを言った。


「もしかして、このぬいぐるみの事ですか?学校に来る途中に拾ったのですが。」と僕は、登校途中で拾ったぬいぐるみを袋から出しながら先輩に言った。そしたら、先輩は嬉しそうな顔をしながら、「はい!その子です!良かった〜見つかって〜。私にとって大事なぬいぐるみだったので。」


「それなら良かったです。あ、あと、ぬいぐるみを入れていた袋、良かったら使ってください、僕の分はまだあるので。」


「いいですか?では、ぜひ使わせていただきますね。」と先輩は言いい、ぬいぐるみを渡した袋の中に入れた。


と、話し込んでいたら生徒が続々と登校してきていたので僕もそろそろ教室に向かうことにした。


「それでは、僕もそろそろ行くことにしますね。」


「そうですね。私もそろそろ行きますね。あ、あと、この子を拾っていただいてありがとございます。お礼がしたいので、今日の放課後、よかったら、ここに来てみてくださいね。」と先輩は言い、入学案内のパンフレットに書いてある学校の地図にバックからペンを取り出して丸を付けた。


「それじゃぁ、またね。優太君。」と言い、去っていった先輩を呆然と見つめて、てか、先輩気づいてたんじゃ。と思いつつ、僕も遅刻をしないように自分の教室に向かった。


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