別れた恋人達

藤川めぐみ

第1話

私の初めての恋愛は、高校3年生の冬。

それまでにも彼氏という存在の人はいたが

友達以上の間柄というだけ。

新宿のディスコで出会ったその人は、社会人で大人の色気をプンプンさせていた。

その頃の私は、ただ踊りたいという欲求で

ディスコに出入りしてた。

よって、男性の視線には到底気が付かず。

少し休もうと座った時、その彼はやって来た。

「何処から来たの? 歳いくつ?」

夜中12時近かった事もあり、一瞬警察かと思い身構えた。

その彼はニコニコしながら、

「一緒に踊ろうよ」

何だ警察じゃないんだと一安心。

女5人で来てたが、私は迷わず

「いいよ」

落ち着いた笑顔を見せてはいたが(たぶん)

心臓がバクバクと破裂しそうだった。

これまで私が知っている男性は

冗談を言い周りを笑わせばかり。

大人の男性の色気と落ち着いた振る舞いに

一気に恋心が芽生えてしまった。

その日は連絡先を交換し別れた。

彼は、平安閣という結婚式場に

勤めているらしい。

一週間後に渋谷で待ち合わせをした。

彼は車で迎えに来てくれ、葉山の海に

ドライブに行った。

食事をし、買い物をし、スタンダードなコースだったが、それなりに楽しかった。

しかし、何回かデートを重ねていくうちに、

あの出会った時のトキメキが何故かどんどん薄れ‥‥

何故かな?って考えたがわからず、

ズルズルと関係は続いて行った。

私的にはもっとハラハラドキドキの展開を

期待していたが、彼は最初に出会った時の印象と違い、かなりの慎重派だと気付いた。

キスをする時も抱きしめる時も必ず

私の許可をとってから。

もっと強引にグイグイ来る大人の男性を期待してたのだが‥

憧れの壁ドンなんてあるわけもなく。

急に、彼に大切な時間をさいてることに

嫌気がさして来て別れを決意。

ここからが大変だった。

電話も出ず音信不通にし自然消滅を

狙ってたが、何と突然ストーカーに変身した。

江戸川区に住んでたアイツが私の住んでる

国分寺まで、仕事帰りにほぼ毎日来ては

自宅の近くにいて車で監視してた。

恐ろしいくらいの執念深さだ。

最初は降りて来て話しかけて来ていたが

私が無視しつづけると、無言でジッと

見つめるだけになった。

手を出されたり何をされたわけではないが

気味が悪く怖かった。

2ヶ月近く我慢していたが、もう限界で

元暴走族のアタマだった兄に相談。

次の日からアイツの姿は見なくなった。











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