犬神様は半身を探してる
@hanazanmai
第1話 プロローグ
真ん中に錆び付いた手すりがある、長い石階段を登ると、海が見渡せる猫の額ほどの広場に出る
その一角に小さな祠があって、祖母は、80歳で亡くなる半年前まで、毎朝その長い階段を登って、祠にお供えをしていた
お供え物に制限はなく、昨晩の夕飯の残りとか、作りすぎた弁当のおかずとか、腐りかけのタラコとか、とにかくなんでもよかった
半年前、祖母は畑でイノシシに襲われて怪我をした
幸い命に別状はなかったが、腰の骨を折っていて、しばらく入院することになり、入院している間に気落ちしてしまい、そのまま死んでしまった
【しゅんた、ばあちゃんがいないときは、おまえがイヌガミ様にゴハンを差し上げるんだよ】
そう、事あるごとに言われてきたが、祖母は近所の人や兄弟から旅行に誘われても決して家を1日以上空けることはなく、駿太の出番も当然なかった
だから、すっかり忘れていた
イノシシに襲われて運ばれた病院で、点滴をつけて眠る祖母の顔を見るまでは
その翌日から、駿太は毎日長い階段を登っている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます