第5話 女王様ってどこにでもいるよね

 「えー私これ出たくないんだけど。ハリケーンとか大変だし」

 メンバー決めで騒々しかったクラスに静寂が訪れる。発言の主は、山王 真凛。こちらも、太がいっていたハイスペックメンツの1人。絶対女王だ。


「でも山王さん結構運動神経いいし……」

 篠崎さんもなかなか負けない。


「てか、私そんな頑張りたくないんだけど。あ、征四郎と一緒なら考えてもいーよ」

 こいつ、佐生と仲良しか。というより執着してる感じというか。


「生徒会種目は男女ペアの障害物リレーだっけ? あれ、征四郎とやらせてよ。みんな恥ずかしいし、やりづらいでしょ? それやるからいいじゃん。1種目にカウントされるし」

 女王は畳みかける。


「真凛、ちょっと落ち着け。な?」

 ここで佐生が食い止めにかかるが


「征四郎は私と一緒なのが嫌なの? 嫌じゃないよね?」

 女王は折れない。もう誰も手がつけられない状況だ。


 ここでチャイムが鳴った。ホームルーム終了だ。ガラガラガラとドアが開いて、


「どうだ~? 来週月曜までには出せよ~?」

と平加先生は言い残して、教室を後にした。いや、職務全うしろ!?



 次の日の金曜にも決まるわけがなく、残すは月曜だけとなった。篠崎さんは、平加先生に相談に行ったけど、

「生徒主導でやらせるのが方針だ。どうしても困ったら私を呼べ」

と言われたらしい。


 土日を挟めば、何か空気が変わるかもしれないと思ったのだろうか、クラスの皆はそそくさと部活に行ったり、下校した。山王さんこと女王は、野球部のマネージャーで、相変わらず佐生等が説得するも難航。今日は、篠崎さんも、俺も半ば現実逃避気味に、下校した。


 果たしてうまくいくのだろうか……

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