死ぬとは?

 僕は罪悪感に苛まれて、その場に座り尽くした。あいつの死体の隣で。


 そして、その現場をヒナのお母さんに見られてしまった。


 しかし、彼女は警察を呼ぶことも、逃げることもせず、こう言った。


『ごめんね...颯太くん...私...知ってたの...あの子が...あの人に...レイプされていたこと...でも知らないフリをしていた...私...一人じゃ...家族全員で暮らす...お金がなくて...あの人には...逆らえなかったの...逆らうと...暴力を振ってきて...私って...母親失格ね...でも...あの子に一言謝りたい...何も出来なくって...ごめんって...』


 そして、僕達は、死体を裏山に埋めた。

 なぜあのとき、自首しなかったのだろう。

 今でも後悔してる。


 そして、僕は空っぽになった。

 それで、死ぬとは?なんのか、よく考えるようなったんだ。それで、死ぬってことをよく知らない僕は、死生観を持つために、自殺付添人という、死に関わる仕事を選んだというわけさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る