第24話 模倣

 相卜がヒミコさんに手を向けた瞬間、

 激しい衝撃波が起こりこちらにも届いた。


「くっ! ヒミコさん!

 大丈夫ですか!!」


「これは......」


 オレが遅延ディレイを使う。

 相卜は手をこちらに向ける。

 

「なっ!」 


(オレの身体が重い。

 いや違う。

 これは......)


遅延ディレイをコピーか......」


「違う反射しているんだ。

 どうやら心を読まれているようだね。

 僕の衝撃波ウェーブもさっき使われた。

 もうコピーされたようだ」  


 ヒミコさんがそういうと、相卜は袖で口許を隠す。


「ふふふっ、そうですわ。

 この天探女あめのさくめは、

 相手の心を読む能力があります。

 そしてこの目の魔法、模倣コピーで、

 あなたたちの使う魔法は全てコピーしました」


 そういって相卜は笑う。


「うそ!!

 じゃあまずいじゃないですか!」

 

「さすが僕の目だよね」 


「そんなこと言ってる場合ですか!!

 心を読む上にこちらと同じ魔法を使うなら、

 なにもできませんよ!」

 

「大丈夫さ、君は全力で遅延ディレイを使っておくれ」


「知りませんよ!」 


 オレは言われたとおり遅延ディレイをかける。


「無駄なこと」


 相卜が呪文を唱えると、

 その声は早口になる。


「しまった......

 やはり反射され、

 オレが遅くなって......」


 オレがそう思っていると、視界に一瞬何かが走った。

 すると相卜が視界から消えた。 


「さあ、終わったよ」


 オレの魔法を解除したらしく、

 ヒミコさんが隣にいる。


「えっ?

 何が......」


 オレが周囲をみると壁にヒビが入り、

 その下に相卜が横たわる。

 驚いたように白目を見開いたまま微動だにしない。


「気絶してる......

 どうしたんですか......

 こっちの魔法を全て使えたのに......

 しかも反射されるでしょうし、

 心だって読まれるんすよね」


「単純に殴っただけだよ。

 魔法は自分の強化だけに使ったから反射はされない。

 例え心を読んでもそれを上回るスピードで動けばいいだけだ。

 彼女は魔法を否定しながら、

 それに頼りすぎだったのさ。

 魔法はあくまでも道具、使う者次第だよ」

 

 そういうとヒミコさんは、

 相卜に近寄りその額の目に手ををかざす。

 手を引くと額から目がなくなっていた。


「早くいひかとエクスさんの二人を探さないと」


「大丈夫さ、ほら」


 ヒミコさんがそういうと同時に部屋に二人が入ってきた。


「はあ、はあ、まさか局長を倒すなんて......」


「さ、さすが、タイガさん......」


 二人は少し負傷していたが、

 大丈夫そうだった。


「何とか大丈夫か」


 オレは胸を撫で下ろした。

 オレたちはヒミコさんの空間創作で、

 魔法管理局を脱出した。


「すごいわ!

 ヒミコさん!

 こんな魔法も使えるなんて!」


「これってマイルズが使ってた、

 あの強力な魔法!?」


 いひかとエクスさんは驚いている。


「まあ、マスターに作られた僕ならば、

 このようなこと造作もないよ」


 ヒミコさんが自慢げにいう。


「ちょっ、ヒミコさん、言い過ぎっす!」


「やっぱりタイガ!

 私に力を貸して!

 あなたとならこの世界を変えられるわ!」


「だめです!

 タイガさんは私と......

 いえ神聖教会に所属していただきたいんです!」


「マスターは私のマスターだといいました」


 また三人に腕を引っ張られもみくちゃにされる。


「ち、ちぎれるーーー!!」


 オレの絶叫が町に響いた。

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