第20話 再構築
ラクリマが説明をしてくれる。
だが、オレは反対した。
「それは危険すぎる!!
ダメだ!」
「ですが、私はマスターの魔力でいられるのです。
マスターが亡くなれば私も壊れます。
ぜひ、許可を」
「どうせ、打つ手はないんだ。
やるしかないよタイガくん」
ヒミコさんに促され考えたが、
ヒミコさんが手がないというならそうなのだろう。
オレはうなづくしかなかった。
「仕方ない......
わかった」
「了解です。
マスター」
「まだ逃げるのかい。
どうやらもう残された手段はないようだね。
何か策があるかと心配したが、
警戒する必要はもうなさそうだ」
凛音が勝ち誇ったようにいった。
オレたちは走って逃げる。
「ひゃはははは!
コレクションしやすいように、
バラバラに解体してあげるよ!」
「いまだ、かわすんだ」
オレはヒミコさんの言葉でかわしながら魔法を使った。
「無駄よ! 私に魔法は効かないのよ!
ひゃはははは!」
そういって斬撃を放ちながら近づいてくる。
「あっ」
ラクリマが転ぶ。
「ラクリマ!」
「動くな!!
そこを動くとこの子はバラバラにするよ!」
オレが動くのを
「さあ身体をこっちに渡しなさい。
私はホムンクルスには興味ないからね、
粉微塵にしてもいいのよ。
この子を醜く細切れにされたくはないだろう?
おっと動かないで、そこから身体を投げてくれるかな」
オレは言われたとおり、
肺の球と胴体の水晶を、ラクリマの近くに放り投げた。
「それじゃ、君の左腕ちょんぎってもらえるかな」
そういやな笑みを浮かべ近づいてくる。
オレは左腕に手を掛けた。
「いまだ」
ヒミコさんの言葉と共にラクリマは立ち上がり、
近づいた
「何を!!
このホムンクルス!
ぐわああ!!」
ラクリマが切れた右腕を手にもっている。
「な、なんだと!!
貴様その力」
オレが
「違うよ」
「なに!?」
オレが砂を手にとって空中にかけると、
空間に半月状の穴が空いた。
「これは......
まさか!?」
「そう、君の放った斬撃だよ。
タイガくんが魔法で遅くしたのさ」
ヒミコさんがそういうと、
オレは左腕を
「やめろ!!
やめろおおおお!!」
そう狂ったように叫びながら、
オレたちは監獄まで戻る。
「ありがとう!
タイガ、エクス、ラクリマ、
凛音......
いえ真鶴
今、管理局から船がきたわ!」
「それはよかった帰れるな。
いひか、じゃあ後の脱獄囚は」
「ええ、残りは、
闇の
死の
の三人ね。
タイガ、取りあえず本部にきてもらえる。
上が話を聞きたいらしいの」
「わかった」
「では、明日本部へ、
今日はつかれてるでしょう。
食料も届いているので、いっぱい食べて寝て」
その夕食はラクリマとエクスさんも手伝って、
かなり豪勢な食事だった。
その夜、
「なかなか美味しかったなタイガくん」
「ええ、めちゃくちゃうまかったっす。
やっぱラクリマとエクスさんは料理上手っすね。
......でも、いひかの作ったものは、
食材を錬成して作ったなにかでした」
「そ、そうだったね......」
オレたちはいひかの作ったものを、
無理矢理食べさせられたことを思いだした。
「明日、魔法局か」
そういってヒミコさんは目をつぶる。
「どうしたんすかヒミコさん......」
「おそらく、そこに僕の身体があるね」
「えっ!?」
「ほら
彼ら魔法管理局は魔法使いの法務士だからね」
「なるほど......」
「......さすがにこの姿では、
これから起こりうることに対処できないか」
「ん?
どうするんすか?」
「もっている身体から、僕の身体を再構築する」
「そんなことできんすか!?
全部揃ってないのに!」
「仕方ない。
残りの身体には厄介な魔法がある。
さすがに全部揃う前に殺されてはね」
「つ、ついにえいちかっぷが、わが前に!
ちょ、ちょっとだけ、さわってもいいすか!」
「よかろう。
君には十分助けられた。
思う存分さわりたまえ」
「マジっすか!!
さわるっす!
指紋なくなるぐらいさわるっす!」
「では手に入れた身体をそこに、
左腕の指輪はそのままもっていてくれ」
「はい!
いますぐ!」
オレはテキパキと手に入れた身体を並べた。
「うむ、とても手際がよい。
まず、胴体の水晶、肺の球、
そして今日手に入れた右腕を加工した宝石、
これで身体を再構成する」
「指輪とこの目はどうするんすか?」
「君が持っていてくれたまえ、
最悪その身体に戻らなければならない事態の想定と、
君の身体の再生に使うからね」
「わかりました!」
「では、はじめる」
ヒミコさんは目を閉じ呪文を唱える。
「我の魂をもって、おおいなる理に反し、
この仮初めの血肉に、無垢なる命を吹き込み、
再び新たなる生誕の産声をあげん」
そうヒミコさんがいうと、
身体の宝石たちが輝くと、
それはおほろげに姿を変え、
人の姿へと変わっていく。
「ふう、どうかな。
ん、あれ?」
「あ、ああ、あ......」
オレは声もでなかった。
なぜならそこには、
青い髪の小学生ぐらいの少女がたっていたからだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
オレの魂の慟哭が宿舎中に響いた。
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