こんなデート、ぜったいしたくない

叙述トリック大好きギャル…満74歳現役女

第1話 初めてのデート ☆ー1stー✷

「オレ、女の子とデートってしてみたいんですよ。恥ずかしいけど実は、今までデートしたことないんですよね」

ー 女子とデート、良いじゃないですか。


「じゃあ、今からオレの初デートのシミュレーションしてみても良いですか、手伝ってくれます?」

ー もちろん良いですよ。それじゃ、早速やりましょう。とりあえずボクは、キミの生き別れた兄弟の役をやりますね。

「なんでやねん!デート関係ないやろ。オレに生き別れた兄弟なんておらんわ。あなたは、オレが気になっている彼女の役やってくれや」


ー …そうですね…。じゃぁボクはキミの彼女の叔父おじで、先日破産宣告を受けた人の役を…

「だからデートと関係ないちゅうねん!しかも破産宣告ってどんだけシリアスな事情抱えてんねん。そんな役いらないわ、まったく!あなたは、オレが気になっている彼女の役をお願いします。さぁ、はよやろや」


ー それじゃあ、待ち合わせの場所で、彼女がキミの後ろから、「だーれだ?」って目を隠す所から始めます。

「あっ、デートっぽいですね。わかりました。どうぞ」


ー だーれだ?

「ちょっと待った。彼女の名前聞いてなかったわ。教えて」

ー 彼女の名前か…まぁボクも迷うてんねんけどな。次の中から選んで。

ナンシー、イザベル、グェン、金(キム)、ドミトリエワ、フビライ…

「全員外国人やないかい!お前外国人が好みなんか?しかも最後の『フビライ』って人…まさか歴史の教科書に出てくる人じゃないやろな?彼女どころか…おっさんやぞ」


ー フビライさんの役は、ボクにはちょっと無理かも知れません。

「なら言うなや!じゃあ、多分ベトナム人留学生と思われる「グェン」さんにしとくわ。はい続けて」


ー (相方の目を両手で隠し)だぁーれだ?

「うーん、その声は…グェンさんかな?」

ーあなた…自分の母親の声忘れちゃったの…?あたし…超ショックよ…

「なんでオレがお袋と待ち合わせしてんねん。おかしいやろ。ここは「グェンさん」で正解やろ」

ーすまん、すまん。ちゃんとやるわ。


(2ndへ続く)

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