第11話 世の中の魔法事情 ざっくり説明

 いろいろ買いこみ、ダンジョン側でくつろいでいる。


 無線LANも有線で引っ張り込めば、つなげる事ができた。快適だ。


 新品の、お値段以上な感じのソファーで、寝っ転がって情報を拾っている。

 どうやら俺のように力業を使わなくても、ダンジョン内なら魔法が使える人間が出てきているようだ。

 ただし属性に相性があるらしく、何でもは使えないとのことだ。


 どこかの専門家が言うことには、モンスターを殺したときに、倒した人間は何かを吸収してレベルアップか、人類として進化が起こっていると考えられる。今その検証のために遺伝子を比較解析しています。と医師の網場と言う人がメッセージを出していた。


 世の中も、最初は俺のようにパニックを起こしたが、ゆっくりとこの状況に対応をしている。


 そして別件だが、この周辺では俺が探されているらしい……たぶん。 

 実際に俺とはわかっていないようだが、一般的にダンジョンはボスを殺してしまうと活動が死ぬと思われていた。

 というか、今でもそう思われているようだ。


 それが、俺の活動しているこの周辺では、ダンジョンが無くなることが多発し、狸宮司のブログがまたつまらん暴露をしていた。

 まあ男女二人のカップルがダンジョンを埋めた。くらいだけど、何処で引っかかるか、わからないから注意をしておく必要はある。


 それと、レベルアップがあると噂が流れ、急激にゴブリンハンターが増えたため、1.5cm以下の小魔石は重量1gあたり400円に変更された。

 元々ガラスとあまり比重が変わらず、旧来の一個は2g弱だったので2gで800円、1gで400円とこの金額に落ち着いたらしい。

 これのおかげで自動支払機が設置されて便利になった。


 当然、魔石とガラスは、光の屈折率と吸光度が違うため、簡単にはじけるらしい。


 後は陸上やスポーツで、急に記録が上がったと記事が出ていた。まあそうだよね。


 あっそうそう自室ダンジョンで、すごいことが起こった。

 この部屋って70%以上の魔素濃度だけど、ここに入るとフレイヤがしゃべるというか念話ができる。

 最初に連れ込んだ時に、話しかけられてびっくりした。


 話を聞くと、外では魔素が薄く、ほとんどの魔法が使えないとぼやいていた。


 それにもともと、ドゥアトとかトゥアトとよばれる魔素はあるが荒涼とした荒れた星? にみんな住んでいたらしく。

 そこでは基本的にすべての物が魔素で作られており、生物の体も作られているとのことだ。

 当然こっちの住人よりも魔法に対する親和性は高く、上位の生物は体も大きく強力な魔法を使ってくるとのことだ。


 今回、この星を住める状態に魔素を増やそうとしている奴らが、レベルで足切りして勝手にこっちのダンジョンにモンスターを送り込むのに、巻き込まれてきたらしい。

 魔素が薄いと、高レベルの奴らは、体が維持できず自壊するようだ。


 だから、魔石頂戴ねと言われた。


 ちなみにレベルというのは、保有している魔素量だそうだ。


 俺はすでにかなりの魔素量だが、生身の体があるために生きていけている。

 本来、その魔素量なら外に出ると死ぬレベルだから、なるべくダンジョンにいた方がいいと言われた。


 そっかー、知らないうちに人間をやめているレベルだったか……。


 それと気になる情報が一つ、あのダンジョンの底で俺がもらったクリスタル。

 スキルというのは、ドゥアトと呼ばれる星に生まれる、管理者が持っている特殊なもので。管理者は複数人いるが、普通のモンスターはそんなもの持っていないということだ。

 話をまとめ簡単に言うと、あんたって神? まあ神じゃなくても、こちらで精霊と呼ばれる存在にあたるという事だった。


 これから、いろいろ教えてくれるフレイヤは、先生と呼ぼう。


 管理者は、文字通り何かを管理できるスキルを持って生まれ、たぶんだが、星で10体もいないよと言われた。

 何かが起こりスキル持ちが死ぬと、次が生まれる仕組みのようだ。


 そんな特殊なスキル。それも創造者(クリエイター)などという物騒な名前、これから面倒ごとしか思い浮かばねえ。


 あのダンジョンの底で死闘を繰り広げた奴は、やはり特殊個体で創造者スキル保有者が育つ前に、『やってみよう惑星改造。第一弾。レベルで足切り基準値以下は勝手に転送計画』にフレイヤと一緒に巻き込まれた可能性が高い。


 うん?……。

「おい、フレイヤお前まさか、管理者じゃないよな?」

「にゃ?」


「……」


「フレイヤお前まさか、管理者じゃ・な・い・よ・な?」

 コロンと腹を見せ、うにょうにょするフレイヤ……。


「魔石やるのをやめようかな……」

 ぴく

「素直じゃない子は嫌いだな……」

 ぴくぴく


「もし管理者を隠していたら…… ……おまえを食っちゃうぞぉ」

 両手を顔の横でワキワキしながら、フレイヤに言うと、ふぎゃあと言って毛が逆立った……。

〈食べないで~…… 病気というか命を司っているセクメトと申します〉

〈あん? セクメトってどこかの神様じゃん〉

〈実は、空間的には近い座標なので、昔から誰かは来ていて、名前が知られてしまっています〉

 なんかプルプルしながら、しゃべっている。まだ尻尾は太い。


〈ちびっこいのはなんで?〉

〈それまでの体がダメで、新しく作って移り変わったばかりなので〉

〈魔素でできているのにダメになるの?〉

〈はい、年々体は大きくなっていくので、体全体でいろんなところにエラーが出るんです〉

 まだプルプルしている、そんなに怖かったのか?


〈わかった、名前はどうする?〉

〈フレイヤで、お願いします〉

 と頭を下げて来た。


〈しかし、こっち側に管理者が二人、そのドゥーアップとかいう星大丈夫なのか?〉

〈ドゥアトです、大丈夫でしょう。だめでも力のあるものは好きに生きられますし、たぶん今ちょっかいを出してきているのも大した奴じゃないですよ〉


〈よしそれなら、いざとなったらお前に任せよう〉

〈まあ、それくらいなら〉



 話がまとまったころ、どこかで美月の遠吠えが聞こえた気がした。

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