【GM用】シナリオ

《オープニングフェイズ》

・シーン1:叱責 PC①

前回の事件から数か月後、あなたはUGN本部エージェント藤崎弦一に、通信で呼び出されていた。

藤崎「なぜ呼び出されたのか分かっているか?」

藤崎「君のUGNイリーガルとしての活動についてだ。」

藤崎「君がUGNに協力してくれている原動力、それがジャーム化した城所佳紀を救うためだということは理解している。」

藤崎「しかし、そのうえではっきり言っておこう。城所佳紀をジャームから元に戻す方法は現時点で存在しない。霧谷のそれを探すという方針も理想論だ。」

藤崎「私は理想論を語ったりしない。現実を見るべきだ。君もそうするべきだと思うがね。」

藤崎「今日は警告のみだが、これ以上任務に私情を持ち込むようなら、次はUGNイリーガルに対する懲罰になるかもしれない。憶えておきたまえ。」

藤崎との会話が終わったところで、シーンをカットする。



・シーン2:戯曲の中の男 PC②

あなたの下に客が訪れていた。その客は立派なマントに身を包み中世の王様然としている。堂々とした、しかし浮世離れもしている姿だった。

マクベス「突然の来訪失礼仕る。我が名マクベス。スコットランド王にして、英国の作家シェイクスピアによって名誉を汚された者。レネゲイドの力によって数多の上演をつなぎ合わせて生まれた存在なれば。」

マクベス「余の周りで次々と同胞たるレネゲイドの申し子たちが消えている。即ち、賢者の石を持つ者の失踪事件である。」

マクベス「何故そなたに明かすのか、疑問に思うであろう。これは余の意志ではなく魔女の予言なれば。余の持つ石を護りたくば、(PC②の外見)を持った者を事件に巻き込めとな。」

マクベス「余も賢者の石の所持者である。これはかのファースト・フォリオの頃から余と共にあった秘石である。余の存在が歴史の闇に紛れなかったのは正しくこの石のおかげであろう。」

マクベス「では、事件の調査への協力感謝する。なにか分かれば余に伝えよ。」

マクベスが一方的に退場し、PC②が事態を整理したところでシーンをカットする。


《ミドルフェイズ》

・シーン3:ネームレス PC①

あなたが街中を歩いていると、一匹の猫が側溝に落ちている。一匹では抜け出せそうにない。あなたが猫を助けてやると、その猫が口を利く。

猫「ニャー、ありがとう。PC①君。この端末はドジだからたびたびこういうことがあって僕も困っていたんだ。」

猫「なにから説明したほうがいいかな?」

猫「まず僕は“ネームレス”と呼ばれる情報屋だ。動物を自分の端末にして情報を売り歩く。」

猫「そして君のことは情報屋界隈では有名だ。PC①君。ジャームになったお友達を人間に戻そうと愚直に努力し続けるオーヴァード(ダブルクロス)。その筋では有名人だよ、君。」

猫「そうだな、助けてもらったお礼に1つ情報をあげよう。」

猫「プライメイト(次なるもの)って知っているかな。かつて賢者の石をいくつも集め、取り込み、強化したオーヴァードが至った境地というものだ。そのオーヴァードは神に等しい存在になったとも、進化に失敗して消滅したとも、ただの一般人に戻ったとも言われている。」

猫「そう、オーヴァードがただの一般人に戻れるかもしれないんだ。UGNは認めたがらないけどね。」

猫「そして今、再び賢者の石狩りが行われている。水端伊吹って子を調べてみなよ。それから“マクベス”っていうレネゲイドビーイングもね。」

猫「じゃあ、僕は失礼するよ。ニャー。」

ネームレスの端末が去っていき、取り残されてところでシーンをカットする。



・シーン4:連続殺人事件 PC②

あなたが連続殺人事件についてUGNに照会を行うと何件か情報がヒットする。霧谷雄吾にも情報を提供してもらうことができる。

霧谷「こんにちは、PC②さん。あなたから事件への積極的なご協力を頂けるとは幸いです。」

霧谷「確かに賢者の石を持つ人間が襲撃される事件が相次いでいます。」

霧谷「しかし、犯人の推測には至っていません。」

霧谷「PC②さんにも調査へのご協力をお願いします。こちらで情報項目の洗い出しを進めておきますね。」

霧谷「“マクベス”ですか?UGNの情報端末には記録がないレネゲイドビーイングですね。別途こちらでも調査を進めていきます。」

霧谷と通信を切ったところでシーンをカットする。


・シーン5:マクベスを訪ねて PC②

PC①も登場。あなたたちは“マクベス”について調べると、お互いのことがヒットする。

当のマクベス本人には当たらなかったが、ここでお互いに自己紹介をし、関りを持つようにするとよいだろう。霧谷雄吾と情報を交換することもできる。

霧谷「おや、PC①さんもいらっしゃるのですね。お久しぶりです。あれから数々の事件に協力してくださっていると聞いていますよ。ありがとうございます。」

霧谷「“マクベス”というレネゲイドビーイングですが、最近日本にやってきたようです。UGNヨーロッパ各国のデータベースには記録がありました。」

霧谷「しかし神出鬼没なようで、シェイクスピアの戯曲マクベスが上演された都市に現れることが分かっています。」

霧谷「戯曲マクベスは先月、日本でも公開されていますね。」

霧谷「まるで生ける伝説のようです。」

シーンをカットする。


《情報収集フェイズ》

・a-1 賢者の石

知識レネゲイド:6

賢者の石、別名レネゲイドクリスタルとは、レネゲイドウイルスが質量をもった物体である。この石は適合者が使用した場合のみ強力な力を適合者に与えることで知られている。また、賢者の石を持つ者が別の賢者の石を持つ者を倒すことにより、新たに石を取り込むことを石の強化と言い、この行為の果てがプライメイトオーヴァードに至る道だという。


・a-2 プライメイトオーヴァード

情報UGNorFH:11

プライメイトとは次なるものを指す言葉であり、かつてFHのマスターレイスが神のような存在を目指してこれに至ろうとした。賢者の石を持つ者が石を強化し続けると、やがて石は持ち主を進化させるという。進化した果にプライメイトオーヴァーになった者がどうなるかはわかっていないが、神のような存在になるとも、次の次元に旅立てるとも、レネゲイドの呪縛から解き放たれるとも言われている。


・b-1 水端伊吹

情報噂話:8

12歳の少年。覚醒後1カ月あまりという、ごく最近覚醒したオーヴァードで、組織には所属していない。彼は賢者の石の適合者であり、何らかの理由で賢者の石を強化しようとしている。その証拠に彼は最近起こった連続殺人事件の現場近くで目撃されている。彼には年の離れた兄がいることが分かっている。


・b-2 水端伊吹の兄

情報ウェブ:8

水端伊吹の戸籍を検索すると彼と彼の兄は、父親が違うことが分かる。また、二人の母親は伊吹を生んだ際に帝王切開の医療ミスにより亡くなっている。兄の姓は城所で、名前は佳紀である。彼の兄は霧谷雄吾によってジャームの保護施設に監禁されている。


・b-3 城所佳紀

情報UGN:8

ジャーム化した元一般人。現在は霧谷雄吾によるジャーム化した者を保護する施設に収容されている。収容後のUGNによる調査の結果、城所佳紀には賢者の石の適合者の可能性があることが分かった。

・b-4 水端伊吹の目的

情報噂話:9

水端伊吹の目的は兄、城所佳紀を一般人に戻すことである。そのために水端伊吹は賢者の石を狙っており、街を荒らしているレネゲイドビーイング“マクベス”に目をつけた。彼は“マクベス”から石を摘出し、それを兄、城所佳紀に移植、その後自らを贄にして兄の石を強化することで、兄をプライメイトオーヴァードにしようとしている。この計画が上手くいった場合、水端伊吹は死亡する。この計画の助言をしたのは“プランナー”都築京香である。

【水端伊吹に会いに行けるようになる。】


・c-1 “マクベス”

情報噂話:7

シェイクスピア戯曲の登場人物を名乗る怪人。大げさなマントに、腰には帯剣をぶら下げ、一人称は余のちょっと関わり合いになりたくない人物。賢者の石の適合者で、噂によれば17世紀から石を強化し続けているという。その石の力の特徴は不滅で、何度となく決闘に敗れる姿を目撃されながらも、毎回復活を遂げている。


・c-2 “マクベス”の逸話

情報学問:7

シェイクスピアのマクベスによれば、マクベス王は『女性の股から生まれた者』には負けたことがない。“マクベス”の復活劇はここから生まれたものだろう。


・c-3 “マクベス”の狙い

情報裏社会:9

“マクベス”の狙いは自身の弱点を無くし、再び王として立つことであり、そのためにプライメイトオーヴァーになり進化を果たそうとしている。最近日本で起きている賢者の石を持つ者の襲撃事件は“マクベス”の仕業であり、次に彼は水端伊吹を狙っている。

PC②に近づいたのは、彼の持つ情報だけでは賢者の石の所持者を追い切れなくなり、UGNに近い者から情報をかすめ取ろうと自作自演したためである。なお、この行動は魔女の予言と本人が述べているように、意図したものではなく直感的に行動した結果である。


《イベントシーン》

・シーン7:ある少年の苦悩 PC①

水端伊吹に会うと宣言した場合に発生。

PC②は自由登場。

水端「なんだよ、お前。また、UGNの勧誘か?」

水端「俺はUGNにもFHにもつかない。兄ちゃんを怪物にしたFHにはもちろん、その兄ちゃんを治せないUGNにだってつくもんか。」

水端「そうだよ。俺は“マクベス”っていうレネゲイドビーイングが持ってる賢者の石を狙ってる。」

水端「それで、兄ちゃんが助かるならいいじゃないか。」

水端「レネゲイドビーイングは所詮化け物なんだ、そんなやつのこと知ったもんか。」

水端「俺は……俺のせいで兄ちゃんからも、父さんからも、母さんを奪っちゃったから、俺はいいんだ。俺が兄ちゃんを助ける。それでいいだろ。お前は邪魔すんな!」

水端「都築京香?名前は知らないよ。賢者の石のことを教えてくれたのは、同い年くらいの女の子だった。」

水端「もういいだろ、俺は行くからな!」

水端伊吹から一通り話を聞いたところで、シーンをカットする。



・シーン8:プランナー マスター

どこかの書斎。“プランナー”都築京香は本を眺めながら独り言を言う。

都築「哀れな少年に興味はありません。」

都築「私の興味があるのは、レネゲイドの未来。」

都築「とりわけ今回注目したいのは、レジェンドのレネゲイドビーイングが自分の逸話にある弱点を克服できるかどうか。」

都築「今回のプラン、“マクベス”で言い換えるなら、『女性の股から生まれた者』以外にも不滅を発揮できるようになるかどうか。」

都築「彼はプライメイトになれて当然です。私がお膳立てをしたのですからね。私の関心はその先にある。プライメイトとはどんなものであるかその一点です。」

都築「さぁ、見届けましょう。私のプランを。」

シーンをカットする。


《トリガーシーン》

・シーン9:ぶつかる想い PC②

PC①も登場。

あなたたちは街の外れで、強力なワーディングが展開されたことに気づく。

ワーディングの現場に駆け付けると、水端伊吹と“マクベス”が対峙していた。

マクベス「おお。我が協力者よ。とうとう賢者の石を持つ者を見つけることができた。」

マクベス「この者は余を殺して石を奪うつもりのようだが、そうはいかぬ。余が先んじてこの者の石を奪ってくれる。そうこれまでのように……」

マクベス「そうである。余こそ簒奪者“マクベス”なれば。この事実知る者1人として生きて返さぬ。フハハハハハハハ。」

水端「そうはいくか。俺が兄ちゃんを助けるんだ。」

水端「その石、俺に寄越せ!」

シーンをカットする。


《クライマックスシーン》

・シーン10:簒奪者の宴 PC①

PCは全員登場。

“マクベス”の体内にある、異常に強化された賢者の石が、覚醒間もなくで脆弱な水端伊吹の賢者の石を飲み込もうと吠える。強いレネゲイドの波動があたりに充満し、衝動判定を行う。


衝動判定

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。


戦闘に入る。勝利条件は“マクベス”の戦闘不能。水端伊吹は敵でも味方でもない扱いとし、その生死は勝敗に影響を与えないものとする。


水端伊吹と“マクベス”は別エンゲージで、PCはひと纏まりのエンゲージとする。各エンゲージ間の距離は10mとする。


“マクベス”はEロイス不滅の妄執の効果で、戦闘不能時にHP50で復活する。この効果を避けるためには、帝王切開で生まれた、水端伊吹の攻撃の直後に“マクベス”のHPを0にする必要がある。この情報は初めてEロイスの効果が発動したときに開示する。

水端は“マクベス”とPC双方を攻撃対象に選択する。PCを攻撃した次のターンは必ず“マクベス”を攻撃する。

水端は戦闘不能になるたびにタイタスを昇華し5回まで戦闘に復帰する(兄のロイスとDロイス賢者の石だけは残す)。



戦闘開始時

マクベス「キレイは汚い、汚いはキレイ。即ち余のことである。」

水端「兄ちゃんに埋め込む石、必ず手に入れて見せる。邪魔する奴らも許さない。」


時間凍結使用時

水端「先手は取らせてもらう。先ずはお前だ!」


攻撃時

マクベス「おお貴様らに最早眠りは訪れぬ。スリーピング・ディストード・ダガー。マクベスは眠りを殺したのだ!」

水端「俺が手にした力、兄ちゃんを助け出すために、幻想の眼!」


被弾時

マクベス「血が、血が落ちぬ……」

水端「まだまだこれくらいで……」


Eロイス発同時

マクベス「無駄である。『女性の股から生まれた者』に余は滅ぼせぬと知れ。」


Dロイス発同時

水端「この力、ここで使う。」


ロイス使用時

水端「振り返らない。もう戻れないとしても……俺は。」


戦闘不能時

マクベス「余は不滅である。余は不滅である……余は不滅……」

水端「ちくしょう!ここまでだっていうのか。」



バックトラックを行い、シーンをカットする。


《エンディングフェイズ》

・シーン11:賢者の石 PC②

あなたは巨大な賢者の石を前にしていた。霧谷雄吾の依頼でUGNの回収班が到着するまで、“マクベス”の体内にあった石を保管するように依頼されたのだ。わずかでも油断すれば、石から発生するレネゲイドの波動によって体内のレネゲイドが暴走してしまいそうだ。あなたは瞑想しながら、全神経を体内のレネゲイドの沈静化に回すのであった。



・シーン12:託されたモノ PC①

あなたの腕の中で水端伊吹は息を引き取った。急激なレネゲイドの浸食が幼い体には耐えられなかったのだ。

水端「なぁ、お前。結局兄ちゃんのなんだったんだ。」

水端「ふーん。兄ちゃんもいい友達もったんだな。」

水端「なぁ、親友の弟のお願いを聞いてよ。」

水端「これで兄ちゃんを治して、頼むよ……にい、ちゃん。」

あなたの手の中には水端伊吹の体内にあった賢者の石が握られている。これを城所佳紀に融合させればあるいは……そのためにはもっと賢者の石が必要だ。


fin...



経験点

シナリオをクリアした 10点

Eロイスを攻略した 2点

Sロイスがタイタス化しなかった 5点

計 17点

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