神聖クライシスハンター

野林緑里

クライシスハンター

 かつてこの世界は危機に瀕していた。


 突如出現した魔物たちによって町が破壊され、多くの人々が犠牲になるという未曾有の事態に多くのものたちが絶望の節にたたされていた。そして、魔物たちを呼び寄せ多くの人々を悲しみに導いた存在が姿を表す。それは自らを“魔王ギルディー”と名乗り、世界を破壊することを宣言する。


 魔王がどこからやってきたのか何者なのかもはっきりしない。一説には魔界の使者ともされていたがその容姿はこの世界でももっとも広大な陸地をもつアウルティア大陸にすむ人間たちとさほど変わらぬ姿をしていたのだという。


 ただわかることは、魔王にはとてつもない魔力を秘めていたということだけだ。その魔力はまがまがしく、この世界でもっとも用いられる自然界の力をかりた白魔法とは全く異なるエネルギーをもちいる黒魔法だということだけだった。


 やがて世界は魔王の支配下におかれようとしていた。まさにその時だった。救世主が現れたのだ。救世主は苦難の末に魔王を封印することの成功する。


 それにより世界は平和へと導くことになる。


 しかし、それは容易なことではなかった。


 魔王が封印されたとはいえ、その戦いの火種が消えたわけではないからだ。


 魔王は封印される間際、自らの膨大で邪悪な魔力を世界のあらゆる場所へとちりばめたのである。その魔力の影響により、各地ではあらゆる災害が起こるようになる。


 その内容はさまざまで普段はおとなしい精霊たちや魔物の暴走。人間たちの暴動。あらゆる形で魔王の影響による紛争が繰り広げられることになる。


 それを総称して魔王の残党クライシスと呼ばれるようになり、人々の恐れの対象となっていた。


 それらを憂慮したアウルティア大陸一の魔法大国アメシスト王国をはじめとする同盟国によりクライシスを排除し、人々を守ることを任務とする組織を設立させることになる。


 その名は“クライシスハンター”と呼ばれた。





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