あの日、ぼくらの恋の始まり。
#にっく11
第1話 ぼくらが出会った日
私は迷子になっていた。
1人で行けるってお母さんの注意も聞かずに飛び出していったから。
たすけてくれようとしたおばあさんに大丈夫って言ったから。
「ここはどこ…?」
そう呟いてしゃがみ込んだ。
もう太陽が沈んでカラスが鳴いている。
ほんとはもう家についてる頃なのに。。
なんでお母さんの言うことを聞かなかったんだろう。
あの時、素直に連れて行ってもらっていたら。
そんなこと考えてもなんにも変わらない。
「誰か助けてよ。。」
もう動く元気も無くなった。
早く家に帰ってあったかいコロッケが食べたい。
ああ、このまま死ぬのかな。
お母さん…
私を助けてよ
「君?こんなところでどしたの?」
はっとなって振り向いた。
そこには私と同じぐらいの男の子がいた。
まさか助けてくれる人がいるなんて思わなかったから。
このまま死ぬんだって思っていたから。
「…たすけて」
私はその子の顔も見ずに呟いた。
家に帰りたい。お母さんに会いたい。その一心で。
「一緒に帰るか?」
その子はそう言ってくれた。
「…うん、かえる」
私はそう言うのがやっとだった。
もともと人見知りな上に、お腹がすいて声も出したくなかった。
道はわかっても、歩けない。
それぐらい疲れていた。
「おまえ、何歳?」
その子はそう言ってきた。
「…8」
「じゃあ俺と一緒じゃん。」
一緒とは思えないぐらい身長が高かった。
良く見たら、目もぱっちりしてるし髪の毛もさらさら。
すごくかっこよかった。
「…なにみてんだよ。」
「あ、ごめん。。」
さっさと帰ろう。そういって彼は歩き始めた。
「まって、!」
必死に歩いた。
あとここを曲がったら大通りに出るらしい。
そのときだった。
「きゃあああっ!!!」
小さな石につまずいて私はこけた。
「おいっ!大丈夫か!」
「うぅ…。」
私の膝からは赤い血の線ができていた。
お気に入りの白い靴下がみるみるうちに赤く染まっていく。
「お前…どんだけ疲れてんだよ。
ちょっと失礼…!」
ひょいっ。
「ひゃあっっ!」
一瞬何が起きたのか分からなかった。
気がつくと私は、彼におんぶしてもらっていた。
「なにしてるの…!」
そしたら、その子はこう言った。
「そんなケガじゃあるけないだろ?
俺の家に行って洗お。」
私は名前も知らないその子にただただ感謝するだけだった。
十数分後…
「ここって…!」
そこは私が良く知る景色だった。
あのお菓子屋さんに、あの自動販売機。
でも、なんで彼が私のうちを知っているのか不思議だった。
「あとちょっとだぞ。」
そう言って彼は私の家を通り過ぎた。
この子はどこへ向かっているんだろう。。
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