また物騒なことを言い出す

Z「どうぞ」

A「異世界転生だ、チートだ、ハーレムだのに興味を示す連中は“泥の中の女”とか“火の十字架”とか読んでないんだろ、どうせ。横溝正史っていっても金田一耕助しか知らないんだろ。ラバー○スクと湖の○○○死体しか知らないんだろ。そう思ってますよね?」

Z「カクヨムでも人気の高いジャンルを好む層は横溝正史に関心が薄いのではないか、ということを露悪的に発言して問題提起をしたいらしいですが、失敗してますよ」

A「いいんですよ。」

Z「そもそも私が異世界やらチーレムやらに対する蓄えがない。なにより比較対象に出した作品がマイナーすぎやしませんか」

A「いや、あの人らも『○○○の○○』は知っているでしょ」


註 おそらく「あ、あれね」というかたが多数いらっしゃるでしょうが伏字にします。

  先述した二つのキーワードは作品を離れてしまうほど有名になりましたが、作中で登場したときに「はじめまして」と出会うのが幸福な形だと筆者は感じるからです。



Z「そっちじゃないです。泥と火のほうです。“泥の中の女”って『金田一耕助の冒険』の収録作ですか。あの短編集はタイトルが“○の中の女”で統一されているので想像つきましたけど、どんな話かはさっぱり。“火の十字架”にいたってはまったくピンとこないんですが……」

A「え、『魔女の暦』読んでいるって言ってましたよね。角川文庫であれと併録されているやつです」

Z「なぜ『魔女の暦』を読んでいるんですか」

A「読んでませんよ。こっちはマニアじゃないんで。でも調べりゃあらすじや同時収録作を知ることぐらいはできます」

Z「にしても“知る”という言葉の難しさですね。確かにたくさんの人が知ってはいるでしょう、『○○○の○○』を。観てはいるかもしれない、あれを。でも、読んでいますかね」

A「なるほど。でも、そうやって“ほら、君たちはあの名作も読んでいないのか。読みたまえ”みたいに振舞うのはいけないことですよ。マウンティングはそれこそ間口を狭める」

Z「えーと、そっちが言い出したことでは……」

A「でも水を向けたら、そういう老害的な思想が滲み出てきたじゃないすか。そういうことすよ。話を戻しましょう。カクヨム応募枠はあったと思いますか」

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