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 Z「ずっとミステリばっかりで、ファンタジーはさっぱり、一般文芸はほぼ触らず、かろうじてSFはちょっとかじるというか舌先触れた程度ですからね。偏食は否定しません」

 A「角川ホラー文庫、読みましたか? ちゃんと宣伝して他の出版社さんの本を紹介している罪滅ぼしをしておいたほうがいいですよ」

 Z「怒りませんか」

 A「それを薦めるのか、という尖った問題作を見つけたんですか」

 Z「えーと、『幻影城 【探偵小説誌】 不朽の名作(赤川次郎・竹本健治・中井英夫 他)』ですかね」

 A「あれですよね、幻影城って伝説の雑誌」

 Z「そうです。その雑誌に発表された作品のアンソロジーです」

 A「じゃあミステリじゃないすか。なにしてんすか、まったく。時間ないんですよ!!」

 Z「いや、冒頭が日影丈吉の“吸血鬼”なんですよ。これは推理小説ではないですよ」

 A「その心は?」


(内容に踏み込んだやりとりなので、割愛)


 A「謎が提示されても、合理的に解決されなければホラーって単純なホラー観ですよ、それ」

 Z「いっちゃえば超常現象の肯定でしょう、ある種のホラーって。幽霊とか呪いとか。ミステリは否定なので」

 A「言い切っちゃうのもどうかと思いますけどねぇ」

 Z「一応、六月も書いてはいたんですよ。某賞に向けて短編を。これがうまくいかなくて」

 A「で、お薬が必要だと映画を観ていたわけですか。コロナ気をつけてくださいね」

 Z「もう編集者や選考スタッフがうんざりするほど書かれているのでしょうけれども、コロナってホラーですよね。奇病ものってありそうですよね」

 A「いいところに目をつけました、と持ち上げたいところですが残念、ゾンビものがそうですね」

 Z「そうか、ゾンビってホラーのいちジャンルなのか!」

 A「ゾンビをなんだと思ってたんすか」

 Z「え、ゾンビものですよ。ゾンビはゾンビですでに一つのジャンルとして存在しているでしょう」

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