第三十四話

 Uさんが連れ合いと一緒に、ある心霊スポットに忍び込んだときのこと。


 ある一室の扉を開いたところ「ギィィィーーーーッ!」と大きな音が出た。明かり一つない暗闇が露になると、そのまま天井の方から「ぺった!ぺった!ぺった!ぺった!」と音が近づいてきたので、Uさんら一行は声をあげて逃げ出したという。




「だってその『ギィィィーーーーッ!』も、『ぺった!ぺった!ぺった!ぺった!』ってのも、全部その部屋のなかから聞こえた人の『声』だったんだわ」


 いまでもUさんは、あのときソレが明かりのもとまでやって来ていたら自分たちはどうなっていたのか、ときどき考えてはゾッとするそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る