第十九話
若いOLのYさんが実家で片付けをしていたときのこと。
作業をしている途中でふっと意識がなくなった。
気づけば実家の車のなか、電柱に正面衝突していた。
そのまま助けを呼びに、車からふらふらと出たところでYさんの意識はまた途絶えた。
あとから聞いた話では、タイヤ痕一つなく猛スピードで突っ込んだものの、誰も巻き込むことなく、なぜかYさんは軽いむち打ちで済んだ。
そして事後処理云々で慌ただしい日々がすぎたあと。ようやく片付けの続きにとりかかったとき、Yさんは一冊の本に惹き付けられた。
それはなんともないオカルト系の児童書で、いわゆる『いま流行りの○○占いは~』といったものである。
ただ、それはYさんが事故を起こした日、間違いなく意識を失うまえ、最後にみかけたものだった。(そうそう、馬鹿みたいに占いにハマってたなあ~)と、懐かしい気持ちで本を手に取ると、ぱらっ・・・と本の間からなにかが落ちた。
四つ折りになった古い紙を広げると、カレンダーの一部を切り取ったものだった。 そして真ん中に、占いにハマっていた当時の自分の筆跡で大きく『死』と書かれていた。 そのうえ、鉛筆書きの文字の周りを、これまた鉛筆でぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐるぐる・・・と何重にも○で囲っていたそうだ。
「ここまで話したら察しがつくと思うけど、それね、私が『事故を起こした日』と同じ日にちの切りぬきだったの・・・」
「覚えてないけど、なにかとんでもないことを占ったんじゃないかなあ・・・」
その後、実家にあった占い本の類いは全て中身をみることなく処分し、占いの類いとは縁を切っているという。
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