第8話 突然の再会
第8話
「はぁ、行くかぁ…」
これ以上は待たせられねぇな…
早く行かなきゃ、心配させちまう。
まぁ、手遅れな気もするが…
「すぅ、はぁ、よし!頑張って耐えるぞ!」
と、意気込んだのだが…
「あれ、真美は?」
「帰っちゃいましたよ、劔先輩がトイレでゲロゲロしながら泣いてる内に。」
「マジか…てか、何で知ってんだよ覗いたのか?」
「そんな事(普段はしてますけど)する訳ないじゃないですか、劔先輩の事だけを全て識ってるだけです。」
「そうか、それもそうだな…」
しかし、帰っちまったか…
今の俺じゃ、ある意味助かった訳だが…
…はぁ、早く家族だけでも慣れなくちゃな。
「じゃあ、適当に食べて帰るか。次は何食べる?」
「デザート!デザートを所望しますわ!」
「またパクパクお嬢様化してるぞ。」
鹿娘の
あの子、普通にやってりゃ可愛らしいのに、言動や行動のせいで『おもしれー女』になってんだよなぁ…
-------------------------------------------------------------------------
「ふぅ、美味しかったです。でも、頭がガンガンします。」
「かき氷を八杯も食べるからだ。此処は甘味処じゃねぇってのに、食い過ぎだ。」
「スイーツは別腹なのです。それに、かき氷はデザートの頂点なので。」
「戦争勃発させる様な発言すんな。ちなみに俺はパフェだと思ってる。」
「おまいうですよ、劔先輩。ちなみに私にとってもパフェはデザートの頂点です。」
「何個あるんだよ、デザートの頂点…」
「デザートの数だけですよ♪」
「それは…また……尻軽な頂点だな………」
これがデザート狂いかぁ…
怖いなぁ…戸締まりしとこっと。
「じゃあ、会計しとくから先に帰っとけ。」
「はいっ!ありがとうございます、財布 劔先輩♪」
「おい、あっ、文句言う前に逃げやがった!?」
逃げ足が早い奴め…
まぁ、年下に割り勘頼む程、俺は困ってねぇし、お巫山戯なのも解ってるし…
それに先輩の意地がある。
…いや、確か前に「割り勘で良いか、劔先輩。」とか言われな…
しかも、アイツの方が高い物を食ってる状態で…
「やっぱり、今度は奢らせるか…」
先輩の意地?
そんなのは浜で死んだよ。
…良い顔してたよ、アイツは。
-------------------------------------------------------------------------
「あのバカ後輩…」
会計めっちゃ高かったよ…
ちくしょう、やっぱり割り勘か奢らせるべきだったなぁ…
「今月は支出抑えなきゃな…」
マジで気を付けねぇと…
「ん?アレは…」
ふと目を向けた先に、車椅子の少女が見えた。
その瞬間、当然の様に吐き気が襲う。
だが、俺の目は彼女から離せなかった。
そして…
「何処かで見た事が…」
俺は謎の既視感に襲われていた。
そして、その車椅子の少女は、一人で裏路地の方へ向かっていく。
何でそんな所に?
追いかけなきゃ!
何でそんな事を?
アイツを俺は識ってる。
一体、誰なんだ?
アイツは俺の…
「………うっ、おえ゛っ、ま、まさか、先無!?」
根拠もないのに、そんな確信を持ってしまった。
吐き気も拒否感も強くなる一方だ。
でも、俺はアイツの所に向かわなければいけないんだ!
謎の強制力に引きづられ、俺は彼女の後を追う。
そして、路地裏に着いた瞬間…
…其処にはやはり、先無が居た。
居たのだが…
「久し振りだね、劔君♡」
…俺の知らない先無も居たのだ。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます