第5話 隷属するモノタチ

第5話


「やくそくだよ?」

『遠いあの日の約束を今果たす時が来たのだよ、劔君。』

【マチクタビレタヨ。】


やはり、覚えていない。


しかも、彼女達は初対面だ。


一体、俺は何を約束したのだろうか…


「おぼえてないの?」

『成程、に深刻の様だね。まぁ、君は必ず思い出す事になるだろう。後で、ゆっくりと思い出すと良いさ。』

【ガンバレ♪ガンバレ♪】


と、彼女達は言う。


何が深刻なのかは解らない。


だが、必ず思い出す、か…


…なら、今は気にしないでおこう。


まず、先に…


(じゃあ、お前達が誰なのか教えてくれ。)

「うん!わたしは一花いちか!」

『私は双葉ふたばだ。在り来たりな名前だが、人としての名前はこう呼ばれていたのでね。』

【ワタシハ、○!※◎☓□△!】


一人だけ聞き取れなかったが、大体の名前は解った。


(そうか、ありがとう。)

「どういたしまして!」

『お礼など良い。私達は君の従者みたいな物だ。君に求められ事をその通りに還す事が存在意義であり、存在価値なのだからね。』

【ナンデモヤルヨ?】


そうなのか…


しかし、やっぱり見に覚えがない。


俺は彼女達とどんな約束をしたのだ?


これが所謂契約だとしたら…


…俺はどんな代償を払わなければいけなくなるのだ?


「あっ、もうじかん!」

『どうやら、そうみたいだね。起きたら、近くに私達からの貢物を置いてあるから、それを常日頃持ち歩いてくれたまえ。』

【プレゼントアゲル!マタネ!】


あっ、ちょっと待て!


まだ、聞きたい事が…


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「………………………………………はっ!!!」


目を覚ますと、俺はいつの間にか本殿の中に居た。


マジかぁ…


マジで不可思議な事が起きてるのかぁ…


オカルトは好きだが、現実に起きると怖いとしか思えないなぁ…


確か、アイツは貢物があると言っていたが…


「…マジであったわ。」


周りを見渡すと、近くに綺麗な布地に包まれた物と手紙があった。


それを開くと、中には…


「腕輪?」


3つの宝石みたいな物が嵌め込まれた腕輪があった。


うん、良いなコレ…


で、手紙の方は…


『拝啓、劔君。この手紙を読んでくれてるかな?読んでくれているなら、礼を言おう。ありがとう、読んでくれて。その腕輪は私達の服従の証だ。私達を呼びたい時はそれを使うと良い。きっと君の役に立つ事を今一度約束しよう。君が生き続ける限り、私達は君をどんな手を使ったとしても助けよう。』


と、書いてあった。


やはり、怖い。


俺には彼女達が何故こう尽くそうとしてるのかも理解わからないし、見に覚えが無さ過ぎるのだ。


せめて、使う機会が無い事を祈ろう…


そう思っていると、手紙に続きがある事に気が付いた。


まだ何かあるのかよ…


「………………………………………えっ?」


思わず、息を飲む。


其処には…


『追伸、君の後輩である未來によろしくね。でも、彼女は良い子だが、君は先無ちゃんを選ぶ事が最善だという事を忘れないでね。』


と、書いてあった。


「何処まで知ってるんだ、アイツ等は…」


俺は早々とその場を立ち去った。


これ以上居ると、怖さでどうにかなりそうだからだ。


そんな中、ふと頭の中に…


『何でも知ってるさ、君の事ならね♪』


…と、聞こえてきた。


気の所為だろう。


…いや、気の所為だという事にしよう。


続く

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