第12話 誤解

「おい、ヴォルフの奴、マンサちゃんと今夜一緒に寝るんだって?」


「なんだと!?いつの間にそんな関係になったんだ?」


「さっき二人の会話が少し聞こえたんだ。結構昔から一緒に寝ていたらしい」


「それじゃあ、今までの二人のやりとりは俺たちを欺くための嘘だったのか?」


ドンっとテーブルを叩きながら酒場にいる男は悔し涙を流す。


男たちはマンサに一度振られているが、今もう一度振られた気分になっている。

この酒場にいる男たちのほとんどが同じ勘違いをして何やら殺気立っている。


「ヴォルフ、殺してやる!」


誰かがそう呟いた。

何人かが拳に力を込めて打ち震えている。


その後、


「そ、それじゃ結婚する奴のために大人しく家に帰ってろ!ニマが居なくなって寂しいのはわかるがそれでわざわざ俺をからかうんじゃねえ!」


そう言ってヴォルフがさっさと帰っていった。


「おい、なんか違うみたいだぞ?」


「ああ、アイツもマンサにからかわれていたみたいだな」


「今日のところは殺さずにおいてやるか」


「命拾いしやがって」


男たちの夜はまだまだ続く。

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