転生!『柴犬神』の料理番~【和食】スキルを手に入れ、犬の世界で日本の神様の料理番として成りあがる~
八重
第一話「あのーなんか柴犬喋ってるんですけど……」
原因は交通事故。
道路に飛び出した子犬を助けようとした際に、トラックに轢かれて、そのまま……。
そして、目が覚めると真帆はよくある真っ白な空間にいた。
「あ、これ、神様とか出てくるあれじゃない? あのよくめっちゃ強いスキルとか授けられるやつ……」
そうして真帆は独り言を言っていると、白い煙の向こうから何やら近づいてくるのが見えた。
「ほら、やっぱそう……え……?」
真帆がよく見ると、そこには普通の柴犬がいた。
茶色くもふもふのごく一般的な柴犬だ。
「柴犬……?」
「お前にあるスキルを授ける。それを使って、日本代表の料理番として、外交を支配しろ!」
「……」
「……」
「……はい?」
真帆はわけがわからなかった。
「え? 柴犬が喋った……ってことは、え? 神様的なあれなの? え? 柴犬の神様?」
真帆は手のひらをおでこにあて、考え込む。
「なんじゃその不満そうな顔は」
「だって、もっとイケメンの神様とか綺麗な女神様かと思ったら柴犬って……」
「なに?! 犬の世界の日本代表じゃぞ?!」
「せっかく転生してダンジョン攻略とか、イケメンに溺愛されたりするのかと思ったら、料理番?! 雑用係じゃん!」
「料理番をバカにするでない!」
柴犬は怒ったように足をじたばたさせる。
「念のため聞きますが、あるスキルとは一体?」
「【和食】スキルじゃ」
「は……?」
「全てを【和食】を網羅し、調理することができるスキル」
「終わったあ~。私の転生スキルガチャ終わったわ……」
「何を言う! 転生先はわしが日本を治める世界、犬の世界じゃ。そこは今グルメ戦国時代。グルメで制すものは、国を制す。そんな世界の料理番として外交を支配し、日本を救ってもらう」
真帆はその言葉に興味を持ち、顔を上げた。
「ちょっと、かっこいい……」
「じゃろ?」
「うん、ま、要するに神様の料理番なんでしょ? いいじゃん! しかも世界制服!」
「そこまでは言っておらん」
真帆は柴犬に詰め寄っていう。
「じゃあ、転生お願いします!」
「よし、じゃあ、行くぞ」
真帆の目の前が再び真っ白に覆われていく。
しばらくの眠りのあと、目が覚めると目の前には、大きなゴールデンレトリバーがいた。
「では、本日のお客様はイギリス代表のゴールデンレトリバー神でございます。真帆料理長、よろしくお願いいたします」
「あ、もう始まるの?!!!」
「はじめまして、料理長の和食はどれも美味と伺っております。楽しみにしておりますわ」
真帆は準備もなく、厨房に立つことになるのだった─
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【次回予告】
真帆「イギリスって料理あんまりっていうよね?」
柴犬神「失礼なことを言うな!」
真帆「でもただ和食作るだけじゃ、舌に合わないかもだよね……なにか工夫しなきゃ」
柴犬神「イギリスは秩序を重んじる素晴らしき国家じゃ。みなはちゃんと知っているな?」
次回!
第二話「究極の出し巻き卵」
お楽しみに!
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