転生!『柴犬神』の料理番~【和食】スキルを手に入れ、犬の世界で日本の神様の料理番として成りあがる~

八重

第一話「あのーなんか柴犬喋ってるんですけど……」

 藤原ふじわら 真帆まほは17歳でこの世を去った。

 原因は交通事故。

 道路に飛び出した子犬を助けようとした際に、トラックに轢かれて、そのまま……。


 そして、目が覚めると真帆はよくある真っ白な空間にいた。


「あ、これ、神様とか出てくるあれじゃない? あのよくめっちゃ強いスキルとか授けられるやつ……」


 そうして真帆は独り言を言っていると、白い煙の向こうから何やら近づいてくるのが見えた。



「ほら、やっぱそう……え……?」



 真帆がよく見ると、そこには普通の柴犬がいた。

 茶色くもふもふのごく一般的な柴犬だ。


「柴犬……?」


「お前にあるスキルを授ける。それを使って、日本代表の料理番として、外交を支配しろ!」



「……」


「……」


「……はい?」


 真帆はわけがわからなかった。


「え? 柴犬が喋った……ってことは、え? 神様的なあれなの? え? 柴犬の神様?」


 真帆は手のひらをおでこにあて、考え込む。


「なんじゃその不満そうな顔は」


「だって、もっとイケメンの神様とか綺麗な女神様かと思ったら柴犬って……」


「なに?! 犬の世界の日本代表じゃぞ?!」


「せっかく転生してダンジョン攻略とか、イケメンに溺愛されたりするのかと思ったら、料理番?! 雑用係じゃん!」


「料理番をバカにするでない!」


 柴犬は怒ったように足をじたばたさせる。


「念のため聞きますが、あるスキルとは一体?」



「【和食】スキルじゃ」



「は……?」


「全てを【和食】を網羅し、調理することができるスキル」


「終わったあ~。私の転生スキルガチャ終わったわ……」


「何を言う! 転生先はわしが日本を治める世界、犬の世界じゃ。そこは今グルメ戦国時代。グルメで制すものは、国を制す。そんな世界の料理番として外交を支配し、日本を救ってもらう」


 真帆はその言葉に興味を持ち、顔を上げた。


「ちょっと、かっこいい……」


「じゃろ?」


「うん、ま、要するに神様の料理番なんでしょ? いいじゃん! しかも世界制服!」


「そこまでは言っておらん」


 真帆は柴犬に詰め寄っていう。


「じゃあ、転生お願いします!」


「よし、じゃあ、行くぞ」



 真帆の目の前が再び真っ白に覆われていく。

 しばらくの眠りのあと、目が覚めると目の前には、大きなゴールデンレトリバーがいた。


「では、本日のお客様はイギリス代表のゴールデンレトリバー神でございます。真帆料理長、よろしくお願いいたします」



「あ、もう始まるの?!!!」


「はじめまして、料理長の和食はどれも美味と伺っております。楽しみにしておりますわ」


 真帆は準備もなく、厨房に立つことになるのだった─



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【次回予告】


真帆「イギリスって料理あんまりっていうよね?」


柴犬神「失礼なことを言うな!」


真帆「でもただ和食作るだけじゃ、舌に合わないかもだよね……なにか工夫しなきゃ」


柴犬神「イギリスは秩序を重んじる素晴らしき国家じゃ。みなはちゃんと知っているな?」



次回!


第二話「究極の出し巻き卵」


お楽しみに!

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