異世界テイマーのスローライフ
虎龍
第1話 さよなら、人生。
特に大事件が起きる訳でもない、常に平和な街に暮らしている俺、
そんな俺は、いつも通りの道を1人で帰っていた。まずはコンビニでサラダチキンを買う。そして、家に帰る。それだけだ。家に帰り着くと、突然
「クゥーン」
と、どこかで鳴き声がした。気が付くと俺の足元に何かが居た。俺はそれがなんなのかすぐに分かった。
「よしよし。今日もいい子にしてたか〜?ジョン」
「ワンワン」
「お前は今日も元気がいいな〜。はい、今日の分」
俺はそう言って、先程買ったサラダチキンをジョンにあげた。ジョンは美味しそうに食べている。
「そうか、そうか。そんなに美味しいのか。いっぱい食べろよ」
一時して、ジョンがサラダチキンを食べ終わると、俺は
「それじゃ、今日も散歩に行くか」
と言って、家からからリードを取り出した。それを丁寧にジョンに付けてあげる。
散歩のコースはこうだ。初めに、近所のペットショップに寄る。何も買わない時がほとんどだが。その次に、公園に寄って一休み。そして少し遠回りをして帰宅。これが今日までの散歩コースだった。
公園から家に帰る途中、いきなりジョンが暴れ始めた。今までこんなことは無かったのに。
「こら!ジョン!暴れるな!」
俺はポチに怒るが、ジョンは全く言うことを聞かない。すると、ジョンが道路に飛び出した。丁度、トラックがこっちに向かって走って来ていた。
「キィーッッ!」
「危ない!」
俺の声とトラックのブレーキ音が重なった。俺はジョンを助けるために道路に飛び出していた。
(ヤバい!このままでは…)
そう思った瞬間、体全体に電流が流れたような痛みが走った。痛みで目を開けることができないが、ジョンは無事だった事は分かる。ずっと俺の顔を舐めているからだ。
「おい!大丈夫か?!」
車から運転手らしき人が降りてきた。
「待ってろ!今、救急車を呼ぶからな!」
俺は、大丈夫ですと言いたかったが、喋ることすらままならなくなっていた。俺はその場に立ち上がろうとしたが、立ち上がることさえ難しくなっていた。少ししてから救急車のサイレンが聞こえてきた。
(俺、どうなるんだよ…)
やがて、俺の意識は完全にこの世から切り離された。
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