第28話
「もうすぐお盆だ」
「そしたら私はいなくなる」
「なぜかは分からない」
「でも、そう感じるんだ……」
「だから君とはもうすぐお別れになる……」
「……」
「本当は秘密にするつもりだったんだが……」
「つい話してしまった」
「君とはちゃんとお別れをしたいからな」
「……」
「君といるのは楽しいよ」
「一緒にご飯も食べたし、頭を思いっきり撫でたりもした」
「それに、他人の耳かきをするなんてはじめてだ」
「まるで夢みたいだったよ」
「……」
「それでも終わりは来る」
「楽しいときはいつか終わって、前に進むときが来るんだ」
「その時に君が立派な人間になっているように、私は最後まで風紀委員の使命を果たす」
「……」
「違うな……」
「私は君に、立派な人間になってほしい訳じゃない……」
「風紀委員として指導しているわけじゃない……」
「私はただ、君が……」
「私の理想の人になるように願ったんだ」
「私は私のために生活指導をしていた」
「それなのに君は」
「君ってやつは……」
「毎日毎日、私の話を真面目に聞いて……」
「律儀に書き置きまでして……」
「……」
「嬉しかった」
「……」
「楽しかった」
「……」
「……」
「消えたくない……」
「……」
「君ともっと一緒に……」
「……」
「な、なんてな!」
「すっかり騙されただろう!」
「君は純粋だから気を付けないとダメだ!」
「……」
「うん……」
「今日は終わりだ」
「明日も暑い」
「ゆっくり体を休めろ」
「それじゃあ」
「おやすみ」
「また明日」
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