変化とは、常に勇気を必要とするもの。――5
Eランクダンジョンのゲートは、台東区にある
ゲートは二メートルほどの
学術雑誌に載っている銀河のような、神秘的な光景。この先に凶悪なモンスターがたむろしているのだから、皮肉な話だ。
ゲートの
ゲートから出てきたモンスターが人々を襲わないよう、探索者協会はゲートの管理をしている。彼らはゲートの監視役なのだろう。
俺は職員のひとりに声をかけた。
「ダンジョンに挑みたいのですが」
「探索許可書はお持ちですか?」
対応してくれた職員に、柳さんに発行してもらった探索許可書を提示する。
探索許可書を受け取った職員は、それが本物かどうかをじっくり確かめて――
「承りました。どうぞお気を付けて」
俺をゲートの前まで案内してくれた。
ゲートを前にして、緊張と不安が
やるって決めただろ!
弱気な自分に負けないよう、俺は両手で頬を叩く。ヒリヒリとした痛みが俺に
「よし!」
自分を
ぐにゃりと視界が歪み、体が浮遊感を覚える。
視界が戻り、浮遊感がなくなると、俺はダンジョンのなかにいた。
周りが岩で構成された
「
ダンジョンにはいくつもの種類があるが、このダンジョンはもっとも多い系統――洞窟系のようだ。
ダンジョンの種類を確認し、俺は歩き出した。
俺のステータス的に、モンスターに
そのため、俺は辺りを警戒しながら
五分ほど歩いたとき、俺は視界の先に一体のモンスターを
深緑の肌をした、体長一五〇センチほどの小鬼。手にするのは木製の
Eランクダンジョンに生息しているモンスターの代表格『ゴブリン』だ。
ドクンッ! と心臓が跳ねる。
ゴブリンに見つからないうちに、俺は急いで近くにあった岩陰に隠れた。
そろりと
ふぅ、と一息つきながらも、俺の鼓動は荒ぶっていた。まるでバスドラムが連打されているかのようにうるさい。頭のなかも恐怖で濁っている。
ソロでモンスターに挑むのははじめてなのだから、しかたない。
俺のステータスはゴブリンよりわずかに上だ。とはいえ、普通に戦ったら勝率は六割くらいだろう。負ける可能性は――死んでしまう可能性は充分にある。
怖い。怖くて怖くてたまらない。
だけど、逃げない。
「こういうときは、あれだ」
俺は目をつむり、顔の前で手を合わせた。
ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐く。
プロのカードゲーマーだったとき、試合前にいつも行っていたルーティン。一〇〇パーセントの状態で試合に
荒ぶっていた鼓動が
大丈夫だ。もう
俺は目を開ける。
「行くぞ、勝地真」
一言、そう口にしてから、俺は岩陰を離れた。
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