神殺のダモクレス

ぷうたりあん

第1話

15年前 場所????


「クソッ!また適合失敗か」

研究室の中白衣を着た男2人のうち初老の男が苛立った声をあげる。


「人為的な適合はまるで拒否されている様です。適合の瞬間に急に対象を攻撃するかの様だ。やはりコレには意志があるのでは?」


眼鏡をかけた若い男がそれに応える。


「神々の意志ってかぁ?馬鹿馬鹿しい!こいつは所詮ただの肉片なんだぞ。いくら神様の身体の一部だって上から言われてたってにわかに信じがたいし…」


丈夫な耐久性ガラスの向こう側には黒色で黄色く光り輝く腕の様な物体が転がっている。


「機械も武器もましてや人にも適合しない。これじゃあただの危ないエネルギーを出してるだけじゃねぇか…」


初老の男はタバコに火を点けて深く吸い込んだ。


"プルルル!プルルル!"


けたたましく電話が鳴る。


「はいこちら東京大学科学技術研究室。」

眼鏡の男が電話を取る。

「はい。松波教授ですね。今かわります。」

松波と呼ばれた初老の男に受話器を手渡す。


「松波さん!急ぎの案件なんですが…今対応大丈夫ですか?」


電話先の男が声を焦らせる。


「何だよ!またてめぇん所の未熟児だか死にかけた出生児を助けてくれってか?」


「そうです!産まれたはいいですが衰弱していて…このままだと死んでしまうかもしれない!」


松波は苛立った表情を見せる。

「馬鹿野郎!産まれてからただ衰弱してんじゃ何も出来ねえだろ」


「しかし…!その子の母親は政府の関係者らしく、ミスは許されないのだそうで…」

電話の先の男は今にも吐きそうな声だ。


「また…面倒ごとかよ…」

深く溜息をつく。その瞬間だった。


「松波さん!アレが信じられないエネルギー数値を記録しています!こんなに光る事なんて今まで!?」


ガラスの向こう側の腕の様な物が直視出来ない程の光を発していた。


「何だ…こりゃぁ…」

咥えていたタバコを落とし、受話器を耳から離し始めた瞬間、


「あぁ!何だこれ!?光!?」

電話の向こうから驚いた悲鳴が上がった。


「どうした!?こっちも光ってそれどころじゃねぇが何でお前の所まで光ってどうゆう事だ!?」


「赤ちゃんが光に包まれてしまって…」


「はぁ!?」


松波が電話で会話していると、ガラスの向こうの腕を監視していた眼鏡の男が突如叫んだ。


「松波さん!腕が消えました!」


松波は10秒程考えて受話器に声を出した。


「その赤ん坊の素性調べとけ。すぐ行く」

松波は慌てて車のキーを取ると研究室から出ていった。




〜15年後〜

東京〜日本橋〜


テレビからの音

「〜であるからにしまして、今回のDEMA現象も国連と自衛隊の協力によって鎮静しております。」

いつものニュースが流れている。

「それでは8時をお知らせします」


それを聞いた瞬間、畳に寝転んでいた少年が勢い良く立ち上がる。


「やばっ!遅刻!」


ハンガーに掛かっている紺色の制服を掴んでドアを出て走り出す。

足は生まれつき早い方だから自信がある。


「間に合わないから…上だな」


アパートの屋上に階段で上がると隣のビルの屋上へ…ジャンプ!更に隣の建物へと飛び移っていく。

何でこんな事が出来るのかは自分だって知らない。分かるのは物心ついた瞬間から自分のフィジカルが常識を超えていた事くらい。


霧谷流星


それが自分の名前で親は赤ん坊の頃に死んだ。事故だと聞かされている。

叔父さんから支援を受けて高校に進学。今じゃ一人暮らしで気楽に生きているから良いもんだよね!


ビルから飛び移って10分程で学校に到着。

「人には見られてないよ…な…」


明国学院 高等部


ここの2年C組が流星のクラス。

「りゅーせー!まーた遅刻ギリギリかよ」

髪型は黒髪オールバック。顔には覇気が足りないクラスメイトの


谷口春樹


「うっさいなぁ…朝はマジで弱いんだって。ニュース見てたらさぁ」

流星がダルそうに答える。


「今日やってたやつ!またDEMAっしょ?最近多いからやばいよね!この辺りもそろそろ来たりして…」

ひょうきんな顔でニヤニヤしながら机に座ってるロングヘアの女子が声をかける。


野口理沙


「理沙…相変わらずそういうトラブル好きよなぁ」

春樹が面白そうに答えると

「いざって時は流星が守ってくれるっしょ?」

理沙は悪戯っぽく流星の肩を叩いた。

流星「無茶言うなよ…あれって機械の化け物だって言うじゃんか。人間相手とはワケが違うって」

理沙「でもさ!こないだ見つけたんだけど、DEMAと戦闘してるのって生身の人間だって映像あるんだよ!…流星だってもしかしたら…」

そう言ってスマートフォンの映像を見せる。

そこには巨大なカマキリの様な機械の怪物と自衛隊の戦闘映像が映っているが、その中に人間大の影が縦横無尽に飛び回って闘っている様に見える。

春樹「最近この手の映像多いよなぁ。みんな不安だから世の中不安だからスーパーヒーローでも居るんじゃないかって思いたいんでしょ」

「流星がいくら不良30人相手にほぼ無傷で勝ったからって、DEMA相手には無理だよ」


流星「あれは…理沙が絡まれたのをやめさせたら向こうが逆上しただけじゃん」


春樹「でもそれをまったく相手にしないでやっつけちゃうんだからすごいよ。」


そんな事を話していると学校の1時間目を知らせるチャイムが鳴り、クラスメイト達は着席し始める。


ぞわっ


その嫌な感覚は急に背中に走った。

まるで見てはいけない物、感じてはいけない物を見つけてしまった感覚だ。

ふと窓の外に目をやると遠くに見える新宿都庁の上空に黒い穴の様な物が見える。


流星「なんだ…あれ」


黒い穴から銀色の尖った脚がおりてくる。

何度もニュースで見覚えがある…奴らだ。


ついにDEMAが東京に襲来した。

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