第5話 約束の手刀、ガラスのリノウ
青空教室のあと、あいつは僕に告白をした。なぜ連れてきたか、これからどうしたいか。そんなにまっすぐな瞳でいわないでほしい。嘘も方便ってやつを知らないらしい。首の後ろは本当に強打しない方がいいよ、を試されている気分だ。先生に教わったばかりなのに。
「だから、ひとりにさせて」
「こんなに決めてるんだ、僕から言えることはなにもないよ」
「辞めないで、続けてね」
「…どうだろうなぁ、木村さんに相談してみる」
「それがいいよ、じゃ」
僕はこういうとき子どもの振りをして木村さんを頼る。前に一度伝えたら、子どもらしくていいですよと言われた。
「やつは好きな人ができたからもう僕といられないそうです」
「…なるほど」
「コンビ解消。僕はまた細々とやろうとおもうので、あいつをよろしくお願いします」
「あーほんと君らは進まない、あの部屋からやっと連れ出せたのに」
「木村さんはあいつの好きな人知ってるんですか」
「好きな人がいるって聞いて、どんな気持ち?」
「え?こうやって外に連れてくれるやつだといいなぁ、あいつにいい言葉をかけれるやつならなおいい」
「…約束破らない…」
「木村さん?」
「子どもは素直がいちばん、君ら嘘ばっか、気をつかってない振りをして、使いすぎ、気をやりすぎ!相手のことを想っているようでほったらかし!さ、彼女を探してきて!」
言われるがまま知らない土地を探し回る。悩んで決めた顔を見たんだ。あいつにかける声は、もう、ない。
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