人生の攻略本を拾いました~彼女の行動がギャルゲー感覚で予測できるので、簡単にハーレム……とおもいきや誰かが死んでしまうらしい~

雪月風花

月

第17話

　さて……じゃあ誰から攻略しよう。攻略本を読む限り、物語の最後は7月～8月。攻略対象のキャラクターごとに若干の変動はあれど、その時期に告白イベントや重要なイベントがある。そしてゲームクリアだ。

　今は春だから……だいたい3ヶ月くらいの猶予がある。そして物語終了の時期くらいに、自殺が行われるらしい。

　それまでに全員の好感度を80以上にするには……えーっと……

　攻略本を読みながら、攻略法をノートにまとめていく。どのイベントが期間限定で、どのイベントが重要で、どの選択肢を選べばいいのか。どうすれば全員の好感度を80以上にできるのか……それを吟味していく。

　攻略本の中で重要な記述を見つけて、それも拾い出していく。

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　雪海（ゆきみ）雪（ゆき）は好感度75までは簡単に上げられる。しかし、その後はとあるイベントをこなさないと攻略できない。

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　とあるイベント、というのは例によってネタバレ回避されていた。相変わらず肝心なところが記述されていない攻略本だった。

　しかし……75までは簡単、か。そしてその後はイベント必須。

　……ならば、雪海（ゆきみ）さんの攻略は最後だな。好感度75の状態でイベントなどをこなすと、好感度がそれ75より上がらない可能性がある。その分の好感度はムダになってしまうので、それは避けたい。なら、最後に攻略したほうが効率が良さそうだ。

　さて、次だ。

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　月影（つきかげ）月（つき）は初心者向け。何をしても好感度は上がる。しかし唯一、月（つき）の友達の悪口を言うと好感度が下がるので注意。通称『チュートリアル』

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　ふむ……友達の悪口か……それだけは彼女の逆鱗に近いらしい。

　しかし……初心者向けか……実際の人間に使っていい言葉じゃないだろうに……チュートリアルとかもダメだと思うぞ。いや……この世界をゲームだと考えるなら、いいのか？　わからん。

　なんにせよ……僕も月影（つきかげ）さんは優しい人間だと思っている。それに連絡先も交換しているし、攻略本の使い方もマスターできていない今、最初の攻略対象としてはうってつけかもしれない。

　次は風音（かざね）さん……えーっと……

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　風音（かざね）風（ふう）は、密かに主人公に恋心を抱いている。ツンデレというキャラクター設定だが、すぐにデレデレになる。初期好感度も高く、攻略しやすいキャラクターだろう。

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　僕に恋心を抱いている？　そんな変な人がいるとは……驚きである。だから初期好感度が高かったのか。失礼ながら男運がないタイプだな、風音（かざね）さんは。

　しかし、攻略しやすいキャラクターか……ならば、最初のうちに攻略しておくか。

　最後は花咲（はなさき）さん。この人は1年後輩なんだよな……だから、一番面識が少ない。

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　花咲（はなさき）花（はな）。人懐っこい後輩。非常に寂しがり屋であり、好感度の管理が難しい。攻略には甘い言葉をささやき続けることが重要。

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　甘い言葉？　……もしかして、最初にぶつかったときの選択肢って『あんまりキミがキレイだったから、見とれてしまったよ』を選ぶのが正解だったのか？

　……なんにせよ、僕には難易度が高そうだ。攻略は女性に慣れてからだな。

　以上のことから攻略順は『月影（つきかげ）月（つき）→風音（かざね）風（ふう）→花咲（はなさき）花（はな）→雪海（ゆきみ）雪（ゆき）』という順番でおこなうことにした。全員同時に攻略なんて器用な真似はできないから、1人ずつだ。

　花咲（はなさき）さんと雪海（ゆきみ）さんの攻略順は迷ったが、雪海（ゆきみ）さんに対するとある記述を見つけて、最後にすることにした。

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　雪海（ゆきみ）雪（ゆき）は本作のラスボスと呼ばれている。仲良くなればなるほど彼女は変わっていき、最後にはその本性を主人公に向け始める。

　その本性がどんなものなのか、それはぜひ自分の目で確かめてほしい。

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　なんのための攻略本なのか。何回も言うが、ネタバレ回避はいらない。

　なんにせよ、雪海（ゆきみ）さんは攻略難易度が高そうなので、最後に回すことにした。

　さて、では最初の攻略対象は……

　……待て……実在の人物に対して『攻略対象』とかいうの、あんまり良くないな……女性を物として扱ってるみたいで、なんだか気分が悪い。今後、その言葉の使用は控えよう。

　なんにせよ、最初に仲良くなる相手は『月影（つきかげ）月（つき）』である。