幕が下りる

触手を交わし、小躍りする奴等が、何か危険な事を話している。


「遂にこの時がやってきたな!」

「やってきたな。」


「遂に地球が手に入るんだな!」

「やっとだな。」


「遂に人類どもを殲滅出来るんだな!」

「遂にだな。」


ある1つの兵器を持った彼等は、着々と地球に近付いていた。


その兵器は光の兵器だ。

兵器のとてつもない光を肉眼で見ると、たちまち人間の網膜は焼かれ、そして死滅する。

ただ光を発するだけなので、特殊な毒だとか、難しい事は不要な癖に、ただただ強力なのだ。


遂に地球に到着した侵略者たちは

早速作戦を実行に移す。


「やるぞ!充填開始だ!」

「ああ、やろう。」


兵器が煌々と輝き出し、

人間たちがその異様な光景に気づき始めた。

予想通り、こちらを見ている。

侵略者たちは遮光眼鏡をかけ、準備を終えた。


「よし!今だ!」

「発光!」




周囲は光に包まれた。


「よし!やったか!」

「やったな。」


しかし、眼鏡を外した彼等の目に映ったのは、相変わらずの光景だった。

人間たちはこちらを見ている。が、ピンピンしている。


「どういう事だ!」

「おかしいな・・」


人間たちの声が聞こえてくる。


「すげー眩しかったわぁ」

「お前すげぇ顔してたよ。こんな感じで目ぇ瞑って・・」

「そりゃあんだけ眩しきゃ目ぐらい閉じるって」



侵略者たちは呆然としている

「目を・・・」

「閉じる・・・?」


彼等には まぶた が無い。




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ショートショート詰め合わせ(1話完結) mayopuro @mayopuro

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