米騒動

ある国では米が主食だった。

しかし上級国民が買い占めていたので、とても高価だった。


平民たちは苦しみ、悩んでいた。

そんな中、一人の研究者が動き出す。


彼はオルザ博士、米の研究をしている。

博士とはいえ、彼も平民の一人だ。

米が好きで、どうにかして化学で米が作れないかと、日々苦心していた


土中の酵素から作れないか

水中の残留物から作れないか

果ては空気中の塵から作れないかとまで考えた。


そして遂に、その研究は成果を出した。

考えてみれば簡単な話で、

他の食べ物、例えば芋などから米を作ったのだ。


通常の米より多少のコストや環境影響もあるが、背に腹はかえられない。

これで平民も米にありつける時代が来るんだ。

オルザ博士は感涙を、明日の研究発表にとっておく事にし、眠りについた。




翌日、新聞での発表は世間を騒がせた。

発表の内容はこうだ。


『国が遂に動く。

 米の買い占めを禁止する法案が可決へ。

 誰でも米が手に入る時代に』


オルザ博士は涙を流した。

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