異世界転生

俺は異世界転生モノの話が大好きだ。

だからすぐに分かった。

俺は異世界転生したんだ・・。


現実世界・・と言っても今は異世界が俺の現実世界なわけだが・・まあ、それはさておき、

現実世界での記憶は、あの交通事故が最後だ。

子供を助けようとして車の前に飛び出したんだ。

クズニートだった俺でも最期は誇れる形でよかった。

今頃現実世界では「あいつはいいヤツだった」の嵐だろう。


・・・・・


と、いうわけで

俺の異世界生活は始まった。

最近の異世界転生モノは、冒険はせず、割と日常を謳歌するタイプの話が多いのだが、

俺の異世界生活はゴリゴリの冒険活劇だった。

それはもう超がつくほどのストレートなRPGだ。

俺は勇者で、王様に「魔王を倒してくれ」と依頼される。ひねりなしの豪速球シンプルRPGだ。


自称プロゲーマーな俺は

それはもう破竹の勢いで魔物を殲滅した。

そしてあっという間に

魔王を倒してしまった。


富と名声と・・冒険中に出会った可愛い妻と、

明日からは平和で幸せな暮らしが待ってるんだ。

今日はゆっくり寝よう・・。





目を覚ますと、

横にいたはずの妻がいない。

というか、ここは・・・そんな・・・



医者が部屋に入ってきた。

そして笑顔で語った。

「正直申し上げて、

 奇跡としか言いようがありません。

 あんな激しい事故では普通は助かりません。

 ・・そうだ、ご家族に連絡してきます!」


医者が部屋を出てすぐ

俺は窓から身を投げた。

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